生活保護世帯がエアコンを設置してても問題ないの?

2018年8月12日

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【2018年7月19日追記 平成30年7月1日より家具什器費(冷房器具)が新設されました!詳しくは記事をご覧ください】

【2018年7月28日追記 厚生労働省の通知がHPにアップされたので内容を反映しました】

お疲れ様です、ローンウルフです。

先日友人との会話の中で、「生活保護受給者の世帯ってエアコン設置してちゃいけないんでしょ?」という質問がありました。今このブログをご覧になっている方の中にも疑問に思っている方がいるかもしれませんので、現役のケースワーカーである私ローンウルフが生活保護受給世帯のエアコンの設置の可否について解説したいと思います。

生活保護世帯でもエアコンの設置は認められます

結論から申し上げますと、生活保護受給者がエアコンを設置していても問題ありません。生活保護受給開始前から設置していたものを継続して利用するのもかまいませんし、新たに購入して設置するのも問題ありません。ただここで一つの疑問が出てきます。そもそもなぜ私の友人のような質問は出てきたのでしょうか?

実は昔は生活保護受給者がエアコンを設置することは認められていませんでした。その根拠は次の厚生労働省の通知にあります(次官通知第3-5 資産の活用)。

最低生活の内容としてその所有又は利用を容認するに適しない資産は、次の場合を除き、原則として処分のうえ、最低限度の生活の維持のために活用させること。なお、資産の活用は売却を原則とするが、これにより難いときは当該資産の貸与によって収益をあげる等活用の方法を考慮すること。
1~4(略)
5 社会通念上処分させることを適当としないもの

この通知を根拠とし、昭和50年代ぐらいまで(正確な年までは調べられませんでした、スイマセン)は生活保護受給世帯のエアコンの設置は認められていませんでした。

実はこの「社会通念上」という考え方がくせもので、社会通念というものは時代と共に移り変わっていくものです。昭和40~50年代においてはエアコンの家庭での設置はあまり一般的なものではなかったかもしれませんが、今の時代においては各家庭でのエアコンの設置はごくごく当たり前となっています。そうした社会通念の変化に伴い、エアコンの設置が生活保護受給者においても認められるようになったのです

設置が認められるとして、エアコンの購入費用は生活保護費から出るの?

エアコンの設置が認められるとして、そのエアコンの購入費用は生活保護費から別途支給されるのでしょうか?

これまでは夏の時期に冷房器具(エアコン)の購入費用は支給されませんでしたが、平成30年7月1日以降に一定の条件に当てはまれば、家具什器費(冷房器具)という名目で冷房器具の購入費用を支給することが可能となりました。その一定の条件は厚生労働省の通知によって下記のように定まっています(局長通知第7-2(6))。

ア 保護開始時において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。
イ 単身の被保護世帯であり、当該単身者が長期入院・入所後に退院・退所し、新たに単身で居住を始める場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。
ウ 災害にあい、災害救助法第4条の救助が行われない場合において、当該地方公共団体等の救護をもってしては、災害により失った最低生活に直接必要な家具什器をまかなうことができないとき。
エ 転居の場合であって、新旧住居の設備の相異により、現に所有している最低生活に直接必要な家具什器を使用することができず、最低生活に直接必要な家具什器を補填しなければならない事情が認められるとき。
オ 犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合において、最低生活に直接必要な家具什器の持合せがないとき。

 

つらつらといくつもの条件が書かれていますが、要は生活保護の申請時や新たに住居を構えようとした際(転居時含む)の居住先に冷房器具がない場合や被災した場合等のことです。さらに上記の条件に当てはまり、かつ熱中症予防が特に必要とされる者がいる世帯に対して冷房器具の購入費用を支給することが出来ます。

「熱中症予防が特に必要とされる者」とは、体温の調節機能への配慮が必要な者のことで、具体的には高齢者、障がい者、小児、難病患者並びに被保護者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施機関が必要と認めた者ことをいいます

「被保護者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施機関が必要と認めた者」は、お住まいの地域(寒冷地かどうかなど)や世帯員の健康状態などを総合的にみて福祉事務所が判断することになるため、場合によっては支給の対象にならないという判断がなされる可能性がありますのでご注意ください。

また支給されるといっても購入費用が全額支給されるわけではなく、限度額は5万円です。購入費用とは別に設置費用を支給することも原則可能ですが、最終的な判断は福祉事務所がすることになります。また購入費用は自動的に出るわけではなく、本人の申請があって初めて支給されます。

上記について定めた通知の施行日は平成30年7月1日ですが、平成30年4月1日から平成30年6月30日の間に上記条件に当てはまり、かつエアコンの設置がない場合にも支給の対象となります。逆に言えば、平成30年4月1日よりも前に上記の条件に当てはまっていた場合には、支給の対象とはなりません。

例えば、平成30年の3月1日に新規の生活保護申請をした世帯は、自宅に冷房器具がない場合でも家具什器費の冷房器具の支給対象にはなりません。

また支給する時期については「熱中症予防が必要な時期」と定められており、その時期は自治体によって異なります。

冷房器具の購入費用が支給されるとのニュースが出た際に「パチンコ代に使われるんじゃないのか?」といった意見が散見されました。実際のところそうしたことは可能なのでしょうか?詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

エアコンの修理代や買い替えの費用は支出の対象とはなりません

なおエアコンの修理代や買い替えの費用(被災時除く)は日々の生活費から捻出することになるのでご注意ください。

この点について、他サイトで誤った情報が提供されているので指摘しておきたいと思います。「みわよしこ」という方が書いた「エアコン代ようやく支給へ、熱中症を網戸で耐え忍んだ生活保護の現実」という記事です(以下「Diamond Online」より抜粋)。

 生活保護問題対策全国会議は、この通知について、7月26日に厚労省に申し入れと交渉を行った(要望書)。内容を要約すると、「実施機関(=福祉事務所)の柔軟な運用が可能であり必要であることを含め、改めて周知徹底を」「前年度以前に保護開始された方々も対象に」「エアコン修理費の支給(住宅修繕費)も可能ということの周知徹底を」「暑い日に実際にエアコンを使えるように、夏季加算の創設を」の4点だ。

この赤字の部分については明確な誤りです。エアコンの修理費は福祉事務所(自治体)から支出することはできません。これは通知とともに各自治体に配布された厚生労働省の資料により、明確に示されています。私が上記で書いた通り、日々の生活費からお金をためて支出することになります。

そもそも生活保護問題対策全国会議が厚生労働省に提出した要望書には

エアコン等の修理費は、「被保護者が現に居住する家屋の…従属物の修理…のために経費を要する場合」の「住宅維持費」に該当するものとして、当然支給することができるはず

とあくまで当該団体が主張しているだけであるので、現行の制度においては住宅維持費からは支給できません。そもそもこの記事を書いた方が誤って内容を転記しているのでご注意ください。

また同記事には

つまり、どの地域の誰に対しても、「熱中症予防」の名目のもと、生活保護でのエアコンの保有と使用を認め、費用も出すということだ。

とありますが、あくまでエアコンの購入費用を出すのは私が記事に挙げた一定の条件に当てはまる場合であって、どの地域の誰に対しても支給されるわけではないのでご注意ください。

エアコンの購入費用が出せる日がいずれ来るかも?と書いていたらこんなに早く出せる日が来るとは

追記前に「ここ10年ぐらいは夏の暑さは非常に厳しくなり、室内でも熱中症が起きたりする恐れがあります。こうした通知も見直される日がくるかもしれませんね。」と書いていましたが、まさかその日がこんなに早く来るとは思っていませんでした!まぁ今年(2018年)の暑さもかなり厳しいですしね。

実はエアコンの購入費用が支給できるようになったのを知ったのはまさしく追記を書いているこの日(7月19日)で、7月1日の厚生労働省の通知の内容をだいぶ日が経ってから各ケースワーカーに知らされました。ウチの上司情報伝えるの遅すぎるよ…

【平成30年7月28日追記】

厚生労働省のHPに通知がアップされたので内容を反映いたしました。今回の通知は本当突然で、通常は制度の改正や新設がある場合は1年ぐらい前から、遅くとも数か月前から情報提供が厚生労働省のほうからあるんですが、施行日の数日前に突然「制度を変えたので対応してねー、よろしく!」と通知が来たので、現場に情報が回っていなかったのはある意味当然です。現場のケースワーカーとしたらいくらなんでも突然すぎやしませんか?という感じです。

エアコン(冷房器具)の購入費用の支給については、ニュースとして取り上げられた際に他のサイトや掲示板等の情報を見て回りましたが、誤解されたり誤った情報が散見されました。そうした情報をただすためにも、今後も現場のケースワーカーの目線から情報発信を続けていきたいと思います!

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