チョコレート帝国の秘密を暴くあの男、ローンウルフが現代を舞台にして帰ってきた!

2023年11月15日

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ここは東京都内。とある晴れた日の休日の昼下がり。喫茶店でコーヒーを飲みながら、アラサーOLの里菜は悩んでいました。

「私ってあまり物欲がないし特にこれをしたいっていうものもないから、就職してからお給料の多くを貯金に回しちゃってたけど、今のところ結婚の予定もないし、老後が心配だから資産運用とか始めた方がいいのかなぁ…」

「でも私ってお金の知識には疎いし、ましてや資産運用なんてハードルが高すぎちゃうなぁ。でも私みたいな人でも簡単に始められる資産運用がないかちょっと調べてみよっと!」

そんな彼女は手元のスマートフォンで、簡単にできそうな資産運用について調べました。

 

とその時、あるブログの記事が里菜の目に留まりました。

 

「ん、「女性や株初心者でもカンタンに5倍にお金を増やせる投資信託があった」?へぇそんなものがあるんだ!どれどれ…なんか可愛らしいデザインのブログだなぁ」

ポップなつくりのブログと可愛らしいキャラが描かれたブログに、里菜は親しみを感じました。

「へー、さっしーも資産運用に興味あるんだ!そうだよね、やっぱり歳を取ってからお金に困らずに楽して過ごしたいよね…」

記事に書いてあったAKB48の指原莉乃さんの本音に、里菜は共感を覚えました。里菜はさらに興味を覚え、文章を読み進めました。

「資産運用は『その道のプロに運用を任せておくのがベスト』かぁ…確かに私みたいな素人が資産運用するよりも、プロの人に運用してもらった方が確実ね」

投資初心者にもわかりやすく書かれた文章に、里菜は引き込まれていきました。

「えっ、このひふみ投信っていう投資信託を運用している会社の社長、テレビにも出て有名な人なんだ!預けたお金をテレビにも出られるような人が運用してくれてるなら安心だなぁ」

ひふみ投信の社長がカンブリア宮殿にも出演していることを知り、里菜は安心感を覚えました。

「えっ、何これすごい!!!しかもこのひふみ投信っていう商品、10年で5倍に値上がりしてる!」

生まれてこのかた銀行預金で小数点以下の金利しか見てこなかった里菜は、ひふみ投信の驚くべき値上がり幅に驚きを隠せませんでした。

「手数料もゼロ円、口座の開設も維持費もお金がかからないんだ。1,000円からでもできるみたいだし、株式投資、勇気を出して1,000円から始めてみようかな?」

里菜がブログにあるひふみ投信の口座開設のリンク先を指でタッチしようとしたその時・・・

 

「待て!!!」

 

喫茶店に男の声が響き渡りました。

「え、何?」

里菜の前に黒いハット型の帽子をかぶった見知らぬ男が立っていました。

「…あなたは誰ですか?」

里菜はおそるおそる尋ねました。

「俺の名はローンウルフ。世の中の人々をお金に困らない生活へ導くために、日々活動している。」

「え、ロ、ローンウルフ?」
(な、なにこの人…完全にヤバイ人だ…うわぁどうしよう…)

突然現れたその男の言動に、里菜は戸惑いました。戸惑う里菜を尻目に、その男ローンウルフは話を続けました。

「今そのスマートフォンからひふみ投信の口座開設のリンクにタッチしようとしただろう?」

ローンウルフは里菜のスマートフォンをのぞき込みました。

「え、そうですけど…」
(ちょっと何この人、なんで人のスマホの画面を勝手に覗いてるの?!)

「それはやめた方がいい」

「え、何でですか?」

男の思いがけない発言に、里菜は思わず質問を投げかけました。

「ひふみ投信は当初は主に日本の中小型株へ集中投資をしていた。その個別銘柄への見事な選別観から、驚異的なパフォーマンスをあげてきた。」

「でしょ?だったらなんで…」

里菜は納得のいかない様子でさらに問いかけました。

「ひふみ投信はその驚異的なパフォーマンスを聞きつけた投資家から、新たな投資資金を引き付けた。その結果、次第にその運用総額が膨張し、中小型株へ投資をするだけではそのお金を運用しきれなくなってきた。そのため、日本の大型株やアメリカ株へ資金を振り分け始めたんだ」

「ふーん、それで?」

「大型株やアメリカ株へ資金を振り分け始めた結果、その投資成績がTOPIX、つまり株式市場の市場平均とあまり変わらなくなってきたのだ」

「え、どういうこと?だってひふみ投信の値段は5倍になってるし、このブログに書いてあるグラフを見たらここに書いてあるTOPIXよりも全然値上がりしてるじゃない!」

少し混乱した様子で里菜は男に問いかけました。

「確かに投資開始当初よりは大きく値上がりしている。正確にはこの記事の時点では5倍じゃなく4倍だがな。都合よく一番値上がりしているときの値段を見せつける、皇帝のやりそうなことだ。」

「こ、皇帝?!」
(やっぱりこの人ちょっと頭おかしいよ…でも話の内容は気になるからもうちょっと聞いてみようかな…)

「しかし2018年からのひふみ投信の投資成績を見ると、これまでの成績とは大きく異なっている。2018年1月4日の基準価格、これはつまり株でいう株価のことだな。年初めのひふみ投信の基準価格は53,010円だったが、年終わりの12月28日には40,777円とおよそ23%も下落している。

「えっ、そんなに値下がりしてるんですか?!ブログにはそんなこと書いてなかったのに…」

思わぬ事実に里菜は動揺を隠せませんでした。

「ああ、だがそれだけじゃない。このブログ記事で比較対象となっていたTOPIXだが、同じ期間に1863.82から1494.09へと下がっている。下落率にするとおよそ19.84%だ。

「え、ひふみ投信のほうがTOPIXより値段下がってるじゃないですか!!!」

里菜はブログには載っていないかったその事実をその男、ローンウルフに聞かされ思わず大声を上げました。男は構わず話を続けました。

「確かにひふみ投信の藤野社長の会社へ直接訪問し、調査してから投資するかどうかを決めるという手法による銘柄選びには目を見張るものがある。だが実際に会社を訪れることのできないアメリカ株への投資となると、彼はその得意のスタイルを発揮できない。このことがTOPIXを下回る成績になった原因の一因かもしれない。推測だがな。」

「それにひふみ投信には保有しているだけでかかる信託報酬という手数料が1%かかる。この1%という手数料は長い目で見ると大きい。」

「え、だってこのブログの文章には手数料が無料って書いてありますよ?」

里菜は男にスマートフォンの画面を見せました。

「よく見てみろ、あくまで買付手数料と解約手数料がゼロ円って書いてあるだけだ。文章の上にある画像には保有時に「信託報酬1.0584%」って書いてあるだろう?」

 

 

「本当だ!言われなければ気づきませんでした。手数料について書くならそのこともちゃんとブログの文章にも書いてくれればいいのに…」

里菜は憤りを隠せませんでした。

「自分のアフィリエイト収益のために都合の悪い情報は隠す、奴の常とう手段だ。」

男は一瞬怒りに満ちた表情を見せました。

「アフィリエイト?なんですかそれは?」

「簡単に言ってしまうと成功報酬型のインターネット広告だ。お前はさっきスマートフォンからひふみ投信の口座を開こうとしただろう?もしそのままお前が口座を開いた場合、ひふみ投信から皇帝に報酬が支払われるのだ。」

「え、そういう仕組みになってたんですか?!だから今まであなたが言っていたようなひふみ投信の口座開設に不利になる都合の悪い情報は載っていなかったんですね。こんなに可愛らしいキャラクターが載っているブログなのに、やっていることは結構ずる賢いんですね…」

里菜はスマートフォンの液晶に映る画面を見ながら言い放ちました。

「もし株式投資を気軽に始めたいというなら、手数料の安いインデックスファンドというものを買ったほうがいい。インデックスファンドとは市場平均に連動した投資信託やETF(株式市場で自由に売買できる投資信託)のことで、平均するとアクティブ型、つまりプロの自己判断に基づく投資信託よりも成績が良いことが知られている。」

「え、そうなんですか?アクティブ型はプロの人が運用しているのに市場平均を下回るだなんて意外ですね」

思わぬ事実に、里菜は驚きました。

「その市場平均も、結局はプロ達の売買の結果成り立つものだからな。手数料も高い分、プロの自己判断に基づくアクティブ型の投資信託はどうしても市場平均よりも成績が劣りやすいのだ。サルがダーツ投げで選んだ銘柄と、プロのアナリストやファンドマネージャーが選んだ銘柄の成績がほとんど互角だったなんていうデータだってある。」

「え、サルとプロが投資成績で争って互角の戦いだったんですか?!それはビックリですね。プロの人たちって私たちが思っているほどすごい人たちじゃなかったんですね。」

里菜は自分が今まで知らなかった事実に驚き、勉強をしようとしないまま投資を始めようとした自分を少し反省しました。

「ああ。だからひふみ投信といえ、必ずしも将来の好成績が保証されているわけではないのだ。」

「そうだったんですね…あなたが私に声をかけてくれなければブログ記事の言う通りにひふみ投信を買っている所でした。本当にありがとうございました!」

「一人の人間を正しい道へと導けたんだ、礼には及ばないさ」

先ほどまでの険しい表情とは一変して、男は穏やかな表情を見せました。

「それとインデックスファンドですね、家に帰ってから勉強してみます!私、最初あなたから声をかけられた時に、うわっ、ヤバい人に声かけられたなって思っちゃったんですけど、ちょっと誤解してましたね(笑)」

警戒が解けた里菜は、男の前で初めて笑顔を見せました。

「スマートフォンの画面を見ながら一人でブツブツ言ってるお前も俺から見たら十分ヤバい奴だったけどな」

男もニヤリと口元を緩ませました。

「え、ちょっと、ヤダ、またいつものクセが出ちゃった…」

里菜は自分が恥ずかしくなり、思わずうつむいてしまいました。

「じゃあな、俺はそろそろ行く。お前がお金に困らない生活を送れるよう祈っている。」

そう言うとその男、ローンウルフは颯爽と店内から立ち去りました。

「なんか自分がいかに勉強不足か思い知らされちゃったなぁ…もっともっと勉強して、このブログ記事のような内容を見ても自分で投資して大丈夫かどうか判断できるようにならないとね!さてと、そろそろ私もお店を出よっかな」

荷物を片付け、里菜は会計を済ませるためにレジへ向かい、店員へ声をかけました。

「すいませーん、お会計お願いします!」

そう元気よく声をかけた里菜でしたが、店員から返ってきたのは意外な返事でした。

「お会計なら、先ほどお店を出られた男性がすでに済ませましたよ」

「えっ?」

思ってもいなかった店員の答えに、里菜は驚きました。

「ヤ、ヤダちょっと…変な男の人だと思ってたのに、意外とスマートじゃん…」

ぶしつけな男の態度とのギャップに少し胸が高鳴るのを感じながら、里菜は喫茶店を後にするのでした。

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