なぜ断言型インフルエンサーに従う人がいるのか?フロムの「自由からの逃走」から推察する【前編】

2019年3月17日

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お疲れ様です、ローンウルフです。

インターネットの世界ではインフルエンサーと呼ばれる、ツイッターやFacebookなどのSNS、ブログ等を活用して情報発信をし、社会に向けて影響力を及ぼすことが出来る人たちがいます。

こうしたインフルエンサーと呼ばれる方々の中には断言型の主張をする人がみられます。またその断言している姿に惹かれ、彼らの発言に強く影響を受けたり、彼らについていこうという人たちもいます。

特に強く彼らを信奉している人たちは、インフルエンサー達が開催しているオンラインサロンと呼ばれる月額性のインターネットのコミュニティに加入したり、彼らが販売するnoteと呼ばれる情報商材を購入しています。

インターネットによって既存の権威から離れた情報を得ることができるこの時代に、なぜこうした断言型のインフルエンサーについていく人々が出てくるのでしょうか?そうした疑問について解消するヒントを探るべく、社会心理学の古典的名著である「自由からの逃走」から探っていきたいと思います。

ドイツ国民がナチスに従う過程を描いたエーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」

「自由からの逃走」はエーリッヒ・フロムの著書です。

エーリッヒ・フロムは1900年にドイツで生まれたユダヤ人です。ナチスドイツからの迫害を避けるために1934年にアメリカに移住、アメリカやメキソコの大学で教鞭を執り、社会心理学や精神分析学の第一人者として活躍しました。

そんな彼が1941年に記したのが「自由からの逃走」です。彼の著書により、当時ドイツで権勢をふるっていたナチスドイツに、なぜドイツ国民、特に小さな商店主、職人、ホワイトカラーからなる下層中産階級が従っていったかを、社会心理学や精神分析により解明しようとしました。

以下に簡単ではありますが、「自由からの逃走」にある彼の主張について記述していきたいと思います。


 

フロムの主張によると、中世以降のドイツ国民は宗教改革と資本主義の発展により、個人としての無力感が支配していました。宗教改革は個人を教会という既存の権威から遠ざけ、神の前にただ一人で立ち、神への完全な服従を求めました。資本主義の発展は既存の商業圏を破壊し、ドイツの下層中産階級の経済的基盤を不安定にさせたのでした。

そんな心理的環境にある中で、第一次世界大戦前のドイツは皇帝であるヴィルヘルム2世を中心とした専制的な統治が行われていました。

 

当時のドイツ国民にとって君主の権威はゆるぎないものであり、その権威と一体化することにより、精神的にも不安定であったドイツの下層中産階級の人々は、安心感と誇りと権威によりかかることによりマゾヒズム的な満足感を得るのでした。

しかしドイツは第一次世界大戦に敗れ、ドイツ帝国は崩壊。当時先進国で最も先進的と言われたワイマール憲法のもとで、民主主義による統治が行われることとなりました。ドイツ国民にはかつてなかったような自由が与えられたのです。

けれどドイツ皇帝による専制的な政治に慣れきっていたドイツ国民、特にドイツの下層中産階級の国民は外面的な権力や威信に依存するという権威主義的な性格が形成されており、彼らは突如として与えられた自由に対して戸惑いを覚えます。

彼らは皇帝による専制に慣れきっており、心のよりどころを失っていたからです。彼らは「支配されること」に飢えており、外的な権威から支配されたいという一種のマゾヒズムが形成されていました。

一方で労働者階級はナチスの支配になびく人は少なかったとフロムは指摘しました。なぜならば労働者階級は旧体制に反対し続けており、第一次世界大戦でのドイツの敗北は彼らにとっては旧体制の敗北であり、自分たちの勝利を意味していたと感じたからです。

ドイツの下層中産階級の権威主義的性格を巧みに利用したナチス

そうした中で、ドイツ国民の前に現れたのがナチスでした。帝政時代に形成されたドイツの下層中産階級の権威主義的性格を巧みに利用します。権威主義的でマゾヒズム的な性質を持ち合わせたドイツの下層中産階級の多くが、ナチスの他者を攻撃するサディズム的な主張に惹かれていくこととなります。

ヒトラーは「我が闘争」の中でこう述べています。

「大衆は嘆願者よりも支配者を愛し、自由を与えられるよりも、どのような敵対者も容赦しない教義のほうに、内心でははるかに満足を感じている。」

 

 

この言葉の通り、ヒトラーはフランス人、ユダヤ人、共産主義者に対して激しい非難を加え、その姿にドイツの下層中産階級の人々は心を奪われていきました。

またヒトラーはその政治活動において、大衆集会を巧みに利用しました。精神的な寄り所のない不安定な個人に対し、大衆集会を開いて大きな同士の集まりを見た個人に一体感と安心感を与えることにより、彼らの支持を集めるのでした。

こうした活動が実を結び、ついにはナチスは選挙によって政権を奪取することに成功しました。げに恐ろしきは、ナチスは武力によって政権を手中に入れたわけではなく、当時世界で最も自由主義的であったワイマール憲法の元で行われた選挙によってえらばれたという事実です。

当時世界で最も自由を与えられていたドイツ国民は、その自由の重荷に耐えきれず、自由から逃走してしまったとフロムは指摘したのでした。

さて、こうしたナチスが政権を奪取した際のドイツの下層中産階級と、断言型インフルエンサーについていく人々の精神構造や社会環境にはどういった共通点があるのでしょうか?またこうした精神構造を作らないために何が必要なのでしょうか?後編で探っていきたいと思います。

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