可愛い女の子に声をかけられてビルの中にホイホイついていった時の話【前編】

2019年5月21日

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あれは10年以上前の、私がまだ20代ころのお話です。

秋も深まり寒々とした風が吹き始めたその季節、私は高校時代の友人の家を訪れました。たわいもない話をしたあと、友人の家を出て自宅へ戻るために駅へと向かいます。駅の近くは大勢の人が歩く繁華街。賑やかな街の風景とは対照的に空は薄暗くなりはじめていました。

そんな中、繁華街の道の脇で若い女の子が道行く人たちに何かを懸命に配っていました。

「割引券か何かかな?」

一瞬疑問に思ったものの、そのまま彼女の前の横切ろうとしたところ、何かを持った彼女の手が私の前まで伸びました。私は彼女の手を無視するようにそのまま通り過ぎようとしました。

とその時、思わぬことが起こりました。

 

「受け取ってよ!」

 

「えっ?!」

 

突然の言葉に思わず私は声をあげてしまいました。そのまま何かを私に差し出す彼女。彼女の勢いに押され、その何かを受け取る私。どうやら配っていたのは絵葉書のようでした。青色のキラキラ輝いた絵がそこには描かれていました。

絵葉書を目にしたあと顔を上げると、そこにはやや茶髪がかった身長155cmほどの20歳過ぎぐらいの女の子がいました。彼女は驚く私を尻目に、自分の身の上話や世間話を始めました。

「私は広島から出てきて今は学生やってるんだけど、生活費を稼ぐためにこうやってバイトしたりしてるんだー。お兄さんは地元どこなの?」

「俺は〇〇出身ですね。今日はたまたま友達に会いに来るためにここの場所に来たんです」

丸顔の可愛らしい表情で明るく話すさまに、私は少し胸の高鳴りを覚えました。仕事場以外で女の子と話す機会はほとんどなく、楽しい時間が少しの間訪れました。

するとその途中、彼女は私に向かってこう言いました。

「そこのビルの中で絵を飾ってるんだー。良かったら見に来ない?」

少し早い時間に友人宅を後にした私はまだ時間に余裕があり、またこれといった用事もなく後は家へ帰るだけだったので彼女の誘いを快諾しました。

そのビルは繁華街沿いにあり、今いる場所のすぐ目の前にありました。灰色がかったそのビルの1階の入り口は半分以上がガラス張りとなっていて、そのためビルの中が見やすく閉ざされた空間というわけではなかったため中に入るのにも抵抗感はなく、私のほかには外人がいて壁に飾られていた絵を穏やかな表情で鑑賞していました。

部屋の壁に飾られていたのは、ビビットな色が多く使われた色彩の主張が強い絵画でした。多くは夜空や海などの青を基調とした絵でした。絵のタッチはどれも同じであったので、どうやらいずれも作者は同一人物のようです。

壁に飾られた絵について説明を始め、まくしたてるように話す彼女。あまりにどんどん一人で話を続けるものだから、私が口をはさむ暇もありませんでした。

話を聞きながら、猜疑心の強い私はこう思いました。

「たぶんこの子は絵を俺に買ってほしいんだろうな…というか何か詐欺まがいのことに俺を巻き込もうとしてるんじゃないのか?でもこんな経験めったにできないしそのまま騙されたふりをして話を聞いてようか」

さらに話を続ける彼女。一向に話を止めようとしないので私は無理やり彼女の話を遮り、こう質問しました。

「君は何を目的にこの絵について俺に説明しているの?この絵を買ってほしいってことですか?」

私の質問に動じることなく彼女は答えました。

「うん、まずはこうやって絵を見てもらって、もし気に入ったのがあったら買ってもらえればいいなっていう感じぐらいかな!」

可愛らしい表情であっけらかんと話す彼女に、私はあまり悪気を感じることもなく、そのまま彼女の説明を聞きいりました。

「2階にも絵が飾ってあるんだ!来て」

誘われるがままにそのまま階段を上る私。階段の途中にも絵画が飾られており、あいかわらずまくしたてるような彼女の説明は続いていました。まるで私に疑念を抱かせないかのように。

2階に上がると開放的であった1階とは対照的に、やや薄暗いコンクリート造りの部屋があり、壁沿いにいくつもの絵が飾られていました。

「ちょっとここで座って待ってて!」

と彼女は私を椅子に座らせどこかへ行きました。正面にも椅子があるため、戻ってくる彼女がここの席に座るのかなぁと思っていた私の考えは裏切られることになります。

「お待たせしました」

私にかけられた声は、先ほどの彼女とは別の人のものでした。

後編へ続く

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