生活保護受給者がアフィリエイト収入を得たらどうなるの?
お疲れ様です、ローンウルフです。
インターネットの世界が発達した現在、ブログや動画サイト等を活用して収入を得ることが当たり前になってきています。そうした中、会社に勤めて給料をもらって生活するという従来のライフスタイルにとどまらず、中にはアフィリエイト収入だけで生計を立てている人も出てきています。
そんな中で、生活保護受給者が得る収入についても少しずつ多様化し始めています。上記のようなインターネットを介した収入を得ている人も出始めています。
もちろんそうしたインターネットを通してアフィリエイト収入を得た場合にも、ほかの収入と同じように福祉事務所に申告をする必要があります(生活保護法第61条)。
ではこうしたアフィリエイト収入について、生活保護制度上はどのように取り扱われるのでしょうか?今回の記事で解説したいと思います。
生活保護法上のアフィリエイト収入の取り扱い
なお今回の記事は東京都が作成している「生活保護運用事例集」を基に作成しています。そのため、東京都以外の自治体ではこの記事に載っている判断とは別の判断がなされる可能性があるのでご了承ください(おおむね同様の結論になると思われますが)。
生活保護受給者がブログ等を開設してアフィリエイトによる広告収入を得た場合、その収入は勤労収入かその他の収入のどちらかに分かれます。
具体的には、広告収入を得るためになんらかの労働をしていると認められる場合は勤労収入と判断され、単にサイトやブログを作って広告を設置するような場合は勤労収入ではなくその他の収入とみなされることとなります。
ただ単にパソコンの前でブログ記事を書いてそこに広告を張り付けるだけでは、勤労収入としては認められないということですね。
「勤労収入」と「その他の収入」の違い
では勤労収入として認められる場合、その他の収入と比べてどのような違いがあるのでしょうか?
勤労収入とその他の収入の違い、それは「基礎控除」が適用されるかどうかです。以下基礎控除について具体的に説明していきます。
年金などの収入を得た場合、その年金の収入金額は全て生活保護費から差し引くことになります。
厚生労働省のホームページより
ですが働いて収入を得た場合、その収入金額が丸々保護費から差し引かれるわけではありません。一定の控除額を差し引き、残った金額を生活保護費から差し引くことになるのです。この「一定の控除額」が基礎控除なのです。
具体的な例を出しますと、例えばある人が40,000円の勤労収入を得た場合、基礎控除額は17,600円です(ちなみにこの基礎控除額は計算式によって金額が決まっています)。
この40,000円の就労収入金額から基礎控除17,600円を引き、残った22,400円を生活保護費から差し引くことになるのです(下記の図を参照)。
ですがアフィリエイト収入が「その他の収入」と判断された場合、上記の基礎控除額は適用されません。
その代わりとして、収入金額のうち8,000円を超える金額を収入として認定するという取り扱いになるのです(次官通知第8-3(2)エ(イ))。
例えばブログを設置して1か月で上の金額と同じく40,000円の収入を得たとして、その収入が「その他の収入」として認定された場合は40,000円の収入金額から8,000円を引き、残った32,000円が生活保護費から差し引かれることになるのです。
ですので、就労収入として認定された場合よりも1万円ほど多く保護費が差し引かれることになってしまうのです。
アフィリエイト収入が勤労収入かその他の収入かの判断は福祉事務所に委ねられる
なお「広告収入を得るためになんらかの労働をしていると認められる」かどうかの判断は、福祉事務所が調査をし、具体的な判断を下すことになります。
ですからアフィリエイト収入が勤労収入として認められるかどうかは、福祉事務所による裁量によるところが大きいです。
正直なところ、自分や自分の周りの担当世帯ではアフィリエイト収入を得ている人自体がほとんどいないんですよね。ですので具体的な判断となると正直なところ結構難しいと思います。
ですが先述した通り、ただ単に自宅でブログやサイトを作って広告収入を得るだけでは、アフィリエイト収入が勤労収入として認められないと思います。
ですが勤労収入とその他の収入いずれの場合も、インターネットの接続料金や、最低限の通信料については経費として認められる余地があります。
様々な形で稼いで自立した生活を
今の時代「稼ぐ」ということは、会社を通さなくてもこうして個人でインターネットを通じて行うことができるようになりました。
生活保護を受給している方々も、様々な形で収入を得て早期に生活保護から脱却していただければと私ローンウルフは考えています。