ソフトバンクグループの株を約100万円分空売りしました
お疲れ様です、ローンウルフです。
昨日3月22日の大引けで、日本株であるソフトバンクグループの株式を100株、金額にして約100万円分の信用売りを行いました。
ソフトバンクグループの株式を信用売りをしようと思ったきっかけは、私がTwitterでフォローをしている小塚崇史さんという方が1か月近く前にソフトバンクグループの株式を空売りしたというツイートを見たことでした。
小塚さんはこれまでにかなりの好成績を残している個人投資家の方です。ソフトバンクグループの信用売りについては、日本やアメリカの株式市場全体とセクターの動向、個人投資家のモメンタムや資金の出入り、値がさ株と小型株との値動き等に着目して信用売りを実行したようです。
小塚さんが信用売りしたからといって私はすぐに追随して売りを出すようなことはしませんでした。なぜなら私は空売りは決して逆張りでは行わずに順張りで行うようにしているため、トレンドの転換点を探っていたのです。ですから上昇トレンドが続くようであればそのまま信用売りを見送るつもりでした。
私は市場全体に着目して信用売りをするだけの知識や技術を持っていなかったので、ソフトバンクグループの株式の売買状況や信用残、需給、テクニカルについて着目し、1か月近くトレンドの行方を見ていました。
そして今回ソフトバンクグループが短期的に下落トレンド入りしたと判断し、信用売りを実行しました。その理由について、これからお話していきたいと思います。
個人株主が多いソフトバンクグループ
まずソフトバンクグループの需給について特筆しておくべき点は、個人株主の多さです。
日本証券業協会の情報によると、2020年3月末時点での日本の株式会社における個人株主の比率は16.5%とのことです。コロナショックによる株価下落の影響もあるのかなと思いますが、ここ数年は20%を切る保有比率が続いているようです。
しかしソフトバンクグループの個人株主(その他含む)の比率は2020年9月末時点で39.07%と、平均的な個人株主保有比率の倍以上となっています。
ここ4年ほどでも常に30%以上と平均よりも高い個人株主比率となっています。そのため、他の会社と比べてソフトバンクグループの株式は個人株主の需給によって左右されやすい状況となっています。
続いてソフトバンクグループの株価チャートをご覧ください。
これはソフトバンクグループの直近3か月の株価チャートですが、昨日3月22日の終値は9,864円です。
2月中旬以降の株価水準の多くは10,000円を超える水準となっており、この期間に購入した投資家の多くは3月22日の時点で含み損という状況になっています。
特に個人投資家たちは10,000円台で高値掴みした傾向が顕著であると思われます。
それを示唆するのが、PTSの取引状況です。PTSとは証券会社の私設取引所のことで、以下の画面はSBI証券のPTSでの取引状況です。
株価が1万円台に乗せてから、売買高が急激に上がっていることが見て取れると思います。PTSでの取引が東証での株取引の需給へ直接影響を与えるということはほぼありませんが、PTS取引は個人投資家しか売買できないことを考えると、東証での個人投資家の取引もこのように1万円台で高値掴みした人が多いと思われます。
また個人投資家の中には信用取引を用いて自分が持っている現金の金額以上の取引を行う人たちもいます。
以下が直近のソフトバンクグループの信用残(信用取引のポジション数)の状況です。
3月12日の週に信用買残が大きく減ったことが見て取れると思います。これは3月12日に株価が大きく上げ、そのタイミングで信用買いを多数決済したことによるものと思われます。
高値近辺では利益確定売りが多数発生して追随買いが起こらず、翌週からは反落する展開となるのでした。
また高値圏でこれまでよりも信用売残が少ないのも良い状況を示していると言えます。信用売残は将来的な買い圧力になるため、新たに売ろうと思っている側にとっては少ない方が好都合なのです。
この信用残の状況を見て、さらなる上値を追う展開になる可能性が低いと私は判断しました。
続いてテクニカル面を見ていこうと思います。先ほど載せた直近3か月の株価チャートをもう一度載せます。
5日移動平均線が25日移動平均性を下抜きし、デッドクロスを形成しています。また25日移動平均線自体も下向きに代わり、短期的なトレンドが下落に転じたことが見て取れると思います。
また3度高値更新にチャレンジするも失敗しており、このまま株価が下がると下げトレンドを示すチャートパターンのトリプルトップが形成されることになります。
そして株価は直近の安値を結んだラインを下にブレイクし、こちらからも下落トレンド入りしたことを示唆させています。
こうしたテクニカル面から見て、ソフトバンクグループの株価は下落トレンド入りした可能性が高いことがわかると思います。
信用売りを実行するかはギリギリまで迷ったんですが、売買当日の引けの直前にガクっと値を下げたのを見て、下押し圧力は強いと判断して信用売りに踏み切りました。ちなみに下記のチャートは信用売りした昨日3月22日の1日のチャートです。
以上の通りテクニカルと需給の両面から見てソフトバンクグループの下押し圧力はかなり強いものになっていると思います。
続いて下値のメドですが、直近3か月の価格帯別の売買高のグラフをご覧ください。
横の棒グラフが価格帯ごとの売買高を表しているのですが、9100~9800円の間ではほとんど売買高がないことがわかります。こうした売買高のない真空地帯ではすっと値が落ちることが多いため、下がるときは9000円近くまではストンと株価が落ちてくると思われます。
ただあくまでこれは目安であるため、決済のタイミングはまた時間が経ってから改めて検討します。
気になる自社株買い
しかし空売りをするにあたっては不安材料もあります。それは自社株買いです。ソフトバンクグループは2020年7月30日の取締役会決議に基づき、1兆円を上限とした自社株買いを決定しています。
2021年2月末時点においてはそのうちの約5千億円分の自社株買いがすでに消化されており、残り約5千億円分については今年の7月末までに自社株買いを実行する予定です。この5千億円分の自社株買いが信用売りをするにあたっての障害になる可能性が高いです。
なおこの自社株買いは12月に約1,200億円、1月に約2,000億円、2月に約1,800億円行われています。
しかし以下の直近6か月のチャートの出来高を見る限り、あまり自社株買いの影響を感じさせるものでもないのかなとの印象を受けました。
そして1年かけて行う自社株買いの半分を最初の3か月で使ってしまったわけですから、残りの半分については9か月で自社株買いを消化することになります。
そうなると直近の3か月よりは相対的に自社株買いの圧力は減り、また3月の最初の3週間の間にも自社株買いをそれなりに実行しているはずなので、残りの自社株買いをそこまで恐れる必要はないのかなと思っています。
引かれたトリガー
そして相場の流れを大きく転換させるような出来事が先週起こりました。
3月18~19日にわたって開かれた金融政策決定会合において日銀は、これまで行ってきた日銀によるETF買いについて、年6兆円としていた購入の目安を撤廃し、また買い入れ対象から日経平均株価に連動するETFを外し、買い入れをTOPIX連動型のみに絞ると決定しました。
日経平均株価においては組み入れ比率が偏った構成となっており、ソフトバンクグループ1社で7%強を占めていました(2021年3月時点)。
そのため日銀によるETF買いがソフトバンクグループの株価上昇に一役買っていたわけですが、これからはそれが縮小されることになります(TOPIXにおいてソフトバンクグループが占める構成比率は2021年1月末時点で2.55%)。
別にETFが売られるわけではないものの、買いが少なくなるというだけでも需給関係にはかなりネガティブなインパクトを与えることになります。
こうした日銀の決定が今後しばらくは日経平均採用銘柄、特に寄与度が高い銘柄に不利な状況を引き起こすトリガーになると判断したことも、今回私がソフトバンクグループの信用売りを実行させた要因の1つとなっています。
追加の売りは状況次第
以上の条件を鑑みた結果、私はソフトバンクグループの株式の信用売りを実行しました。長期的な動向はわかりませんが、少なくとも短期的には下方への圧力がかなり強いと思っています。
資金の流れやモメンタム、サヤ寄せ等の状況を見ての売りの判断、需給とテクニカルを見ての売りの判断。2人が2つの視点から見て売りを判断したということはそれなりに強力なのかなと思っています。
勝率は今のところ大体6、7割ぐらいを見込んでいます。少ないと思う方もいるかもしれませんが、短期取引においてそれだけの勝率があれば十分すぎる勝率です。
決済の予定ですが、今回私は下落トレンド入りしたと判断したから信用売りをしたので、もしそれがダマしであれば反対売買をしようかなと思っています。また追加で売り増すかどうかは今後の流れ次第です。
この取引の結果については、また後日ブログ記事にて報告しようと私ローンウルフは考えています。