ディフェンシブ投資を学びたい人向けに3冊の本を紹介します

2023年11月15日

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【2020年10月20日内容更新】

【2022年11月10日内容再更新】

お疲れ様です、ローンウルフです。

当ブログではいつ株式市場が大きく下落してもいいように、相場が好調な時からディフェンシブな投資を心がけるべきであるということを繰り返し主張してきました。

なぜこのような主張を繰り返してきたかというと、それは株式市場が長期的な上昇を続けると、人は過度にリスクを取りやすいということを自らの経験や書籍で学んできたからです。

今年はインフレとそれに伴う長期金利の上昇により大幅な株価下落が起きていますが、今回の下落によって自分が過度にリスクを負っていたと気付かされた方も多いのではないでしょうか?

もし大きな損失を負ってしまったとしても、そこから何も学ばないのであれば投資成績を向上させることは出来ません。

これをむしろ勉強のきっかけになるとポジティブに捉え、これまでのリスクテイクの手法を見直してみてもいいのではないでしょうか?

そこで今回の記事では、ディフェンシブ投資を学ぶのにピッタリな3冊の本を紹介したいと思います。

ディフェンシブ運用を学ぶのに最適な3冊を紹介します

まず1冊目は、ハワード・マークスの「投資で一番大切な20の教え~賢い投資家になるための隠れた常識~」という本です。

こちらの本は全般的に守りを中心とした運用スタイルを推奨しており、心理的な要素が投資判断に及ぼす悪影響、儲けること以上に失敗を避けることの大切さ、また私がよく主張している相場が軟調な時に相対的に好調な成績を残すことによって市場平均をアウトパフォームをする、といった考え方が載っています。

20の教えのうちの1つ、「10 心理的要因の影響をかわす」の中でハワード・マークスはこう述べています。

飽くことのない欲求、機会損失の恐れ、他人と比べる傾向、集団の影響力、「確実に儲かるもの」に対する幻想。これらはほぼ不変的な要素であり、互いに絡まりあって、ほとんどの投資家や市場に強い影響を及ぼす。その結果、人は過ちを犯すのだ。そしてその過ちは広範囲にわたり、幾度となく頻繁に繰り返される。

 

どうでしょう、思い当たるふしはあるでしょうか?もしあるなら短期的な市場の上下に振り回されないためにもぜひとも読んでもらいたい1冊となると思います。


 

2冊目はニコラス・タレブの「まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」です。

タイトルだけ見ると効率的市場仮説論者が「投資で一発当てた奴はまぐれだ!」と主張している本のように見えますが、実際は違います。

正直私自身も誤解をし、「まぐれ」の存在を知ってから実際に読むまでに10年以上もの月日が流れてしまいました。読んでもないのに決めつけるのは良くないですね。

私がよくこのブログで「実現しなかった未来」と表現している考え方は、このタレブの著書の「違った歴史」と同じ考え方です。

人は長期的な上昇相場が続くと高い利益を得たという結果にばかり目が行ってしまい、違った歴史、つまり実現しなかったリスクシナリオを過小評価してしまうということをタレブは著書の中で指摘しました。

またブラックスワンという、起こる可能性は非常に低いけど、それが実現したら甚大な損害をもたらす事象について、このように警鐘を鳴らしています。

黒い白鳥問題は歴史の軽視にも関係している。ギャンブラーや投資家や意思決定をする人が、他の人に不運がふりかかったからといって、自分もそういう目にあうとはかぎらないと決めてかかってしまうことだ。

私たちには結果として得られた富は見えるけど、富が得られる過程は決して見えない。おかげで私たちはリスクを忘れ、失敗例にはまったく注意を向けない。ものすごく簡単なゲームのように思えて、いい加減にやってしまうのだ。

 

「投資は結果だ」。上昇相場時にはそういった意見がよく聞かれますが、目に見えない過程や実現しなかったリスクシナリオも考慮すべきであるとタレブは指摘しているのです。


 

3冊目はマーク・スピッツナーゲルの「ブラックスワン回避法」です。

スピッツナーゲルはコロナショックによる株価急落の真最中の今年3月に、自らが運営しているファンドで37倍という驚異的なリターンをたたき出したかなりの実力者です。

 

彼はタレブと同じくブラックスワン、つまりめったに起こらないけどそれが実現したら莫大な影響を与える出来事に着目し、そうした機会に備えるためにあえて上昇相場時に不利になる投資手法を採用していました。それが「迂回戦略」です。

スピッツナーゲルはこの迂回戦略について、様々な事例を用いて今すぐに利益を出せるような直接的な方法を用いずにあえて迂回的な方法を取ることによって、後に有利な立場を築くことの重要性を説きました。

その事例の1つとして、スピッツナーゲルは日本の「」を例に挙げ、碁において迂回的な戦略を取る意義についてこのように述べました。

(あえて今の時点で不利になる手を打った(※))黒が一連の動きで抑えた隅の部分はいずれ大きな威力を発するわけで、黒は自身の資源を節約し、あとで勝負に出るために退却しているのだとも言える。これは、より大きな目標を達成するための手段を狙った異時的なトレードオフであり、まさに迂回的方策である。
※印部分は私ローンウルフが付け加えた説明

 

碁において勝利を収めるためには、今時点での最善手を打つのではなく、数十手・数百手先に有利になるために打つ手を決めることが最終的な勝利につながるとし、この迂回的な発想を投資に応用した際の有用性をスピッツナーゲルは説きました。

この本が面白いのは、様々な事例を用いるという著書の構成自体が迂回的であり、著書の内容の理解を深めるようになっているという点です。本を読むだけでもその迂回戦略の有効性が実感できるでしょう。

守りの投資哲学を学ぶのに最適な3冊

以上非常に簡単ではありますが、ディフェンシブ投資を学ぶのに最適な3冊の本を紹介しました。

私はこの3冊がディフェンシブ投資の経典ぐらいに思っているので、どのような投資手法を取る人でも1度は目を通してもらいたいと思っています。シーゲル教授の「株式投資の未来」よりもこちらの本を読んでいただきたいぐらいです。

こちらの3冊を読んでもらえば、私が普段している主張が、

「もうすぐ株価が暴落する!」

「投資で一発当てた奴はまぐれ」

といった主張とは一線を画していることが理解できると思います。

ちなみに読む順番としては、ハワード・マークスの本を読んでからタレブの「まぐれ」を読んだ方がいいと思います。タレブの言い回しはかなり強烈なものがあるので、まずはマイルドな表現のハワード・マークスの書籍のほうから読んだ方がいいと思うからです(笑)

ただ注意していただきたいのが、この3冊は具体的な投資手法や判断についての記述はほとんどなく、あくまでディフェンシブ運用の心構えや投資哲学を中心にして書かれた本であるということです。

具体的な投資法を知りたかった方の期待には答えられないかもしれませんが、守りを中心とした投資哲学を学びたいという方にはピッタリの3冊であると私ローンウルフは考えています。

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