過度な最適化に騙されるな
お疲れ様です、ローンウルフです。
長期投資をしている人にはあまり馴染みのない考え方かもしれませんが、システムトレードの世界においては過剰最適化(カーブフィッティング)という考え方があります。
これは過去の相場データを基にしてバックテストを行う際に、過度に最適化した結果そのバックテストが未来の相場において役に立たなくなるという現象を指します。
今回の記事では、この過剰最適化という考え方を長期投資に当てはめて問題点を具体的に探っていきたいと思います。
過剰最適化の具体例
最初の定義だけでは過剰最適化の何が問題かわからないと思うので、具体例を出して話していきたいと思います。
例えば株式の投資先を直近10年間のリターンで考えて世界を見渡すと、アメリカがとても高い投資リターンを生み出していました。
そこで「アメリカ以外の投資リターンが低かった国に投資する必要はない!」としてアメリカ1国のみに投資することにしました。これが最初の最適化です。
そしてアメリカの株式のリターンをセクターごとに見た場合に、ハイテク系の銘柄がアメリカのリターンをけん引していました。
そのため「ハイテク系の銘柄以外は不要だ!」としてハイテク銘柄のみに投資することにしました。ここでさらに最適化が行われることになります。
さらにハイテク銘柄を見ていくと、実際にリターンをけん引していた銘柄は一部の銘柄であることがわかりました。仮にGAFAMのような大型ハイテク株がリターンをけん引したとします。
「ハイテク系の銘柄でも負け組はいらない!」としてハイテク系の銘柄の中でもGAFAMのみに投資をすることにしました。ここで最後の最適化が行われました。
「GAFAM」の円の外は本当に今後も低リターンで終わるのか?
かくして過去のリターンが優れたもののみを選りすぐった結果、バックテスト上の最強の投資法が誕生することになるのでした。
過剰最適化の問題点
確かに直近10年間だけを見た場合に、GAFAMのみに投資をしていれば最強と呼べるリターンを上げることが出来たかもしれません。
しかしそれはあくまで直近10年間の環境下の中で最強のリターンを上げることができたというだけです。直近10年間と同等の市場環境が今後も継続するわけではありません。
金利、物価、景気、税制、はたまた紛争や自然災害によって投資リターンは左右されるわけですから、これらの環境が異なれば過去の最強の投資法は未来においても最強の投資法となるわけではないのは明らかです。
さらに市場環境は循環的に進むということを考えれば、過去の最強の投資法は将来の最弱投資法にもなりかねないのです。
過度な最適化は将来のリターンを阻害する
以上が投資手法における過度な最適化の問題点に関するお話でした。投資手法を過度に最適化すると、環境の変化に対して硬直化してむしろ将来のリターンを阻害してしまう結果にすらなり得るのです。
もちろん投資先についてはある程度取捨選択をする必要があるわけですが、その際には過剰最適化の問題を意識しつつ環境の変化にも耐えうる、もしくはその変化を利用するような投資先・投資手法を構築する必要があるのではないかと私ローンウルフは考えています。