「稲妻が輝く瞬間」は上昇相場時には訪れない
お疲れ様です、ローンウルフです。
2023年以降非常に好調なアメリカの株式市場。特に大型ハイテク株や半導体銘柄を中心に大きく上昇しています。
アメリカの好調な株式相場を見て
「今の上昇相場のような稲妻の輝く瞬間に居なければ儲けられないんだ」
といった投稿を旧Twitterでいくつか見かけました。
しかしこの「稲妻の輝く瞬間」というものは、実は上昇相場には訪れないのです。
「稲妻が輝く瞬間」は上昇相場時には訪れない
そもそもこの「稲妻の輝く瞬間」とは何かという話ですが、チャールズ・エリスが著書「敗者のゲーム」で示した考え方です。
この「敗者のゲーム」によると、1980~2008年の期間にS&P500が最も上昇したベスト10日を逃してしまうだけで、単純に買い持ちしていただけで得られる年平均のリターン11.1%から8.6%へと落ちてしまうとのことです。
この上昇率ベスト10日のような瞬間が「稲妻が輝く瞬間」であり、投資家はこれを逃してはならない、というわけです。
では実際の相場において、大きく株価が上昇するのは一体どういう時なのでしょうか?確認してみたいと思います。
トップ10を調べるにあたってはS&P500よりも観測できる期間が長いNYダウを対象とし、1896年以降から2024年現在までを調査期間としています。それではご覧ください!
wikipediaのデータを基に作成
上記の上昇率トップ10を見て、あることがわかると思います。それはいずれも暴落相場の最中に起きているという事です。
世界大恐慌、ブラックマンデー、リーマンショック、コロナショックといった歴史的な暴落の急反発時に最も株価が大きく上昇しているのです。
稲妻の輝く瞬間が現在のような上昇相場に起きているわけではないということがわかると思います。
上昇相場時の行動以上に下落相場時の行動の方が大切
これらの結果が示唆していることは、上昇相場時に大きく儲けること以上に、下落相場時に保有している銘柄を狼狽売りせずにいるかの方が重要である、ということです。
「敗者のゲーム」の中でチャールズ・エリスもこう述べています。
長期的に見て投資家が失敗する原因の一つは、激しい下げ相場に遭遇してパニックに陥り、上記のような最大の上げ相場に参加する機会を自ら放棄してしまうことだ。この教訓は明らかである。投資家は、「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければならないということだ。
長期上昇相場が訪れると、防御的な姿勢を軽視してハイリスクな投資先・手法を選好する人は多いかと思います。
しかしこうした上昇相場時に投資したハイリスクな投資先は相場急落時の下落幅も大きく、狼狽売りのリスクも高まります。
投資家が長期的に成功するためには、常に暴落相場が起きた時を想定し、実際に暴落が起きた時にも動じないような投資先・投資手法を選択し、暴落後の急反発局面に起きる「稲妻の輝く瞬間」に居ることが重要ではないかと私ローンウルフは考えています。