配当再投資の威力・IBMとスタンダードオイル
米国株投資をしている人たちはジェレミー・シーゲル教授の著書に影響を受けている方が多くいると思われます。ジェレミー・シーゲル教授の著書の中で一つの大きなテーマとなっているのが、「配当再投資」です。ジェレミー・シーゲル教授はその著書の中で、高配当銘柄を買い、その配当を同じ銘柄に再投資した際のパフォーマンスの高さを世に示したのです。
配当再投資の威力の具体例
著書「株式投資の未来」の中で具体例として挙げられたのが、IBMとスタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー(現エクソンモービル)です。1950~2003年の両社の1株当たり売上高・配当・利益、セクター成長率を比べた所、いずれもIBMが上回っていました。そんな中、スタンダードオイルが勝っていたのが平均配当利回りです。IBMの配当利回りが2.18%であったのに対し、スタンダードオイルは5.19%もの配当利回りがありました。
そんな両銘柄の配当再投資による増加分も含めた1950~2003年のトータルリターンを比べたところ、IBMは13.83%でしたが、スタンダードオイルは14.42%とIBMを上回りました。株価上昇率でいったらIBMは約300倍(年率11.41%)、スタンダードオイルは約120倍(年率8.77%)とIBMのほうが上回っていたのに、配当による再投資を含めた場合にはスタンダードオイルのほうがIBMよりもトータルリターンを上回っていたのです。
これは他の銘柄でも同様で、高配当銘柄は高いトータルリターンを残すこととなりました。過去の結果を見ると、低成長であるにもかかわらず高配当銘柄で配当を再投資したほうが利益を残すことのほうが多かったのです。
良く知られた投資手法として、「ダウの負け犬」というものがあります。これはダウ30銘柄のうち配当利回りが高い順に10銘柄を買った際のパフォーマンスのほうがNYダウ全体のパフォーマンスを上回るというものです。ジェレミー・シーゲル著書の「株式投資」によると、1957年から2006年の50年間の両社のパフォーマンスを比べた場合、ダウの負け犬は14.08%のトータルリターンを得たのに対し、NYダウ30銘柄のトータルリターンは11.86%にとどまりました。
何を買おうか迷ったら高配当株投資
こうした事実は意外と知られていないと思います。一般的には成長株を長期に持つ方が利益をもたらすと考えられがちですが、実際は成長率は劣っていても高配当な銘柄であれば高パフォーマンスをもたらしたのです。
「個別銘柄を買いたいけど、どの銘柄に投資したらいいのか迷う…」という方は、VYMやHDV等の高配当株の米国株ETFを買うか、上述した「ダウの負け犬」のような戦略を取るのを有力な選択肢の1つとしておさえたほうがいいでしょう。