米国株が20年後30年後上がっているかどうかより大事な話
お疲れ様です、ローンウルフです。
先週末あたりに、アメリカ株や世界株に分散投資するインデックス商品に20~30年投資をすれば絶対に儲かる、いや絶対とは言えない(けど確率的には儲かる可能性が非常に高いから投資をする)、といった話が飛び交っているのを見かけました。
10年のスパンでマイナスのリターンになるのは十分可能性がありますが、20~30年もの長い期間であれば、上記のインデックス商品を購入して配当再投資をひたすら行えばほぼ確実にプラスの利益を出せるのかなと私も思います。
ただ話の本質としては、単に20~30年でプラスになれば良いというものではないと私は考えています。
直近100年間で3度も10年間のリターンがマイナスになった米国株
上記の話について、もう少し話を掘り下げたいと思います。
まず10年スパンではマイナスのリターンも充分あり得るという話についてですが、実際直近100年間において米国株は、3度にわたって10年間のインフレ調整後のリターンがマイナスになった時期がありました。
1度目は1929年の世界大恐慌後の大暴落です。2度目は1970年代の「株式の死」です。3度目は2000年のITバブル崩壊から2008年のリーマンショックに至るまでの10年間です。
ここ100年間において3度も10年間のリターンがマイナスになったという事実は軽視すべきではないです。今後のあなたの投資人生においていずれ降りかかる可能性がそれなりに高いことは留意すべきです。
人は他の資産が上がっていくのを指を咥えて見るのが耐えられない生き物
10年間のリターンがマイナスだったとしても、それよりもっと長い20~30年でプラスになるのであれば問題無いのでは?と思う人も多いと思います。
たしかにアメリカ株だけ見ていれば一見問題無いように思います。しかし投資先というものは他の投資先と比較されます。
株式で言えば国別で見て日本・イギリス・中国・インド、はたまた新興国というくくりで投資対象として比較されます。
また投資国同士で比較されるだけではなく、アセットクラスとしても比較されます。
金や原油といったコモディティ、不動産、暗号資産、債券・・・米国株は株式というカテゴリーとして他の資産と比較対象になるのです。
もし10年間アメリカ株が低迷している中で、日本株やインド株、はたまた金や暗号資産の価格が急騰した場合に、あなたは何もせずにただひたすら株価の上がらないアメリカ株を買い持ちし、他の投資対象が大きく値上がりしていくのを黙って指を咥えて見ていられるのでしょうか?
実際1970年代の株式の死と呼ばれる時代は株式のリターンが冴えない中で、金価格は一時20倍もの暴騰劇を見せ、投資家たちは株式には目を向けずに金投資に夢中になっていました。
また2000年代前半から投資を始めた人は覚えているかもしれませんが、当時ITバブル崩壊とリーマンショックの爪痕が大きかった米国株はほとんど見向きもされず、BRICSと呼ばれた新興国への投資ブームが巻き起こっていました。
いくら20~30年で収益がプラスになると思っていても、その間に他の投資対象が大きく値上がりし、実際にそれらの投資先で大きく儲けている人を見てしまった場合には多くの人はそれを見過ごすことが出来ないのです。
大きく値上がりした投資先に後から飛びついたりする人は特に注意
今お話した内容は保守的な投資家よりも、大きく値上がりした流行りの銘柄に後から飛びついたり、レバレッジ取引をするタイプの投資家は特に注意すべきです。
保守的な投資家のように、他の投資対象が大きく値上がりしたとしても我関せずで自分のスタイルを貫ければ問題無いです。
しかし魅力的だと思う投資先に次から次へと飛び移ったり、レバレッジをかけて一発を狙うタイプの投資家は、米国株が低迷する中で他の投資対象が値上がりするのを見過ごすのは困難を伴うと思います。
人は自分の投資先がほとんどリターンを生み出さない中で、他者が他の投資先で大儲けしているのを黙って見過ごすことが難しい生き物だからです。特に投資で一発大儲けを狙っている人はこの性質が色濃く出ることでしょう。
また実際に他の投資先に飛び移った方が正解になる可能性だってあるわけですから、それがより一層保有の継続を難しくさせるのです。
それでももし本気で20~30年といった遠い将来を見据えて米国株へ投資をするのであれば、こうした心理的な影響を自ら認識してそれを克服する必要があるのではないかと私ローンウルフは考えています。