米高配当株の成績が冴えないのは課税上の不利が理由ではない

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お疲れ様です、ローンウルフです。

今年に入ってからも好調なアメリカの株式市場。1月26日現在でS&P500は年初来で3.97%上昇し、過去最高値も更新しています。

上昇の中心はマグニフィセント・セブンと呼ばれるような大型ハイテク株であり、かつて非常に人気のあった高配当株の成績はあまり冴えません。

そうした中で、高配当株の成績が冴えないのは「高配当株は課税上不利だからだ」といった意見をよく見かけます。

ですが米高配当株の成績が冴えないのは「課税上不利」だからではありません。

アメリカ以外の国で高パフォーマンスを出している高配当株

高配当株については、実は他の国では高パフォーマンスを出しています。

まず日本株について、過去にも記事にしましたが1994年1月から2016年6月の22年6か月において、TOPIXのリターンが年率0.73%であったのに対し、高配当株の年率リターンは4.09%と大幅にTOPIXのリターンを超過しました。

リターンだけではなくリスクについても高配当株はTOPIXよりもリスクは低く、リターンは高くボラティリティは低いというかなり良好な成績を日本の高配当株においては収めているのです。

井出真吾著の「本音の株式投資」より

続いて新興国株についてです。

新興国株においても高配当株は時価総額加重平均型のインデックス商品よりも好成績を残しています。

以下は時価総額加重平均型の新興国株ETFであるSPEM、新興国の高配当株で構成されたDEM、新興国の小型高配当株で構成されたDGSの直近10年間の価格推移(配当再投資を加味)のチャートです。

 

上記の3つのETFのうち、SPEMは年平均で4.53%のリターンを出したのに対し、高配当株ETFであるDEMとDGSはそれぞれ4.80%、5.26%と価総額加重平均型のインデックス商品の成績を上回っています。

またボラティリティも高配当株の方が低く、シャープレシオも高配当株の方が高くなっています。

直近10年間とサンプルとしては少し期間は短いかもしれませんが(以前はBacktest Portfolioを利用すれば10年以上さかのぼって比較出来ましたが、最近になってそれが出来なくなりました)、それでも人が投資する期間としてはそれなりに長い間、高配当株は「課税上の不利」を跳ね返しているのです。

またそもそも大元のアメリカ株も2000年代後半までは50年弱にわたってS&P500を超える好成績を残しており、相対的に成績が冴えなくなったのはここ15年ほどです。

本当に明らかな課税上の不利があるのであれば、日本や新興国や2000年代後半までのアメリカにおいては相対的に低い成績になっているはずですが、現実はそうはなっていません。

よく「課税上の不利が~」と言う人はこうした他国や過去の高パフォーマンスがなぜ起きているかについて触れておらず、2010年代からのアメリカ株相場しか見ていないのです。

ハイテク株の躍進

ではその15年ほどに何が起こったかというと、GAFAMに代表されるハイテク株の躍進です。

これらのハイテク株は無配(メタとアルファベットは2024年になって初めて配当金を出しました)もしくは配当を出していたとしても配当利回りは低く、これらの銘柄が市場をけん引したため高配当株は相対的に市場に劣後することになったのです。

これらの事情を鑑みた時に、高配当株は「課税上の不利」があるから投資に値しないと断定すべきではありません。

そもそもちょっと考えればわかるレベルの課税上の不利があるのであれば、それは株価に織り込まれているはずです。

株価は多くの情報を織り込んだうえで形成されており、課税上の不利だけが株価に織り込まれていない、なんて事にはならないのです。

市場に対する決めつけは変化に対して脆弱になります。誰でも知る常識も疑うことが、この先市場の荒波が訪れても変化に対応して生き残っていくことが出来るのではないかと私ローンウルフは考えています。

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