アメリカ株とイギリス株保有の相性は良い
お疲れ様です、ローンウルフです。
前回の記事で私は、全世界の株式に投資をする「eMAXIS Slim 全世界株式」・通称オルカンと米国株について、価格の相関が非常に強く、分散されているように見えて実はオルカンと米国株はほぼ一蓮托生の状態にあることについてお話しました。
米国と他の国の株式の相関性が強いなら、他の国の株式は持たずにアメリカ株だけ持っていればいいのでは?と思う人もいると思います。
確かにそういった考えも間違っては無いと思いますが、中には「やっぱり米国株だけでは何かあった時に心配!」と思う人もいるかと思います。
米国株の下落を気にするなら米国債や金を買えばいいのではと思うかもしれませんが、株式と比べると国債や金のリターンは長期的には見劣りしてしまいます。
こうした状況の中で、投資先を分散させたい人に私がオススメしたい投資先がイギリス株です。
保有の相性が良いアメリカ株とイギリス株
とここで前回と同じく取り上げたいのが相関係数についてです。相関係数とは、2つの変数の関係性の強さを-1から+1までの間の数字を利用して表したものです。
前回の記事で私は、世界株と米国株の相関係数が0.92と、両者がほとんど同じような値動きをしているということについてお話しました。
それでは同じ株式同士であるイギリス株とアメリカ株の相関係数は一体いくつなのでしょうか?私が自分で計算してみました。
アメリカ株についてはS&P500を、イギリス株についてはイギリスの大型・中型株で構成されているEWUというETFの値動きを参照しました。ちなみにEWUはNY証券取引所に上場しており、ドル建てで取引されています。
価格データはinvesting.comから抽出しました。参照期間は、上記の世界株と米国株の相関係数の期間と同じ1999年末から2023年末です。
それでは発表します!イギリス株とアメリカ株の相関係数は・・・
ー0.09です。
この数字が意味するのは、アメリカ株とイギリス株はお互いがほとんど影響を与えることなく価格が上下するという事です。これだけ相関性のない投資先であれば、分散投資先として申し分ないでしょう。
直近10年のアメリカ株とイギリス株
話はここで終わりにせずに、さらにGAFAMのようなビッグテックの株価が大きく上昇した2013年末から2023年末の10年間のアメリカ株とイギリス株の相関係数についても調べてみました。
それでは発表します。2013年末から2023年末の10年間のアメリカ株とイギリス株の相関係数は・・・
ー0.38です。
同じ株式でありながら、直近10年間のアメリカ株とイギリス株は一定程度の逆相関の関係にあったのです!これは少し驚きですね。
セクターの差が生み出した逆相関
一体なぜこのような事が起きたのでしょうか?それは両国の株式市場に占める上位の構成銘柄が属するセクターに大きな差があるということが考えられます。
アメリカにおいてはご存知の通り、いわゆるハイテクセクター系の銘柄が上位を占めています。
それに対してイギリスではハイテクセクターの比率はとても小さく、反対にアメリカではウェイトの小さい生活必需品やエネルギーセクターが上位に入っています。これらのセクターの違いが両者の逆相関を生み出していることが考えられます。
過去の相関関係が将来の相関関係をも保証するわけではありませんが、セクターの差を考えれば両国の株式を保有するのはリスクヘッジの観点からはとても良いのではないかと私ローンウルフは考えています。