アメリカ株とイギリス株と後知恵バイアス

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お疲れ様です、ローンウルフです。

旧Twitterを見ていると、たまに

「アメリカ株の指数は右肩上がりだったのに、なんで2000年代から投資している人は当時アメリカ株に投資しなかったの?」

といった意見を見かけることがあります。

確かに現在から過去を振り返ってみるとアメリカ株は大きく上昇しているのが見て取れ、当時アメリカ株を買って現在まで保有していれば大きな利益を得られたことでしょう。

私自身2005年から投資を始めたので実感しているのですが、様々な事情を鑑みれば2000年代当時に米国株を買うこと自体が非常に難易度が高かったことがわかります。

特定口座が無かった米国株投資

まず2000年代半ばと現在とで異なる点は、税制に関してです。当時日本で米国の個別株やETFを買う場合、特定口座は利用できませんでした。

そのため一般口座を利用するしかなく、取引で発生した損益について1つ1つ自分で合計しなくてはならず、それだけでかなりの手間が発生し税制上のハードルが高かったのです。

2つ目の相違点は当時のアメリカ株投資のリターンの低さです。2010年代以降は米国株は高い株価上昇率を誇っているものの、2000年代はITバブル崩壊とリーマンショックという2つの歴史的な暴落劇が起こっており、当時のパフォーマンスは散々でした。

特にリーマンショックは株価の暴落に加えて為替が円高に大きく振れ、株価の暴落と円高によるダブルパンチが起きて米国株のリターンは目も当てられないほど酷かったのです。

3つ目は米国に投資する商品の乏しさです。当時はそのパフォーマンスの差から米国株よりも新興国株投資の方が人気を博しており、登場する投資信託も新興国株に関連するものばかりで米国株の投資信託の数は非常に限られていました。

また海外株の投資信託は手数料がとても高く、信託報酬が1%を超えるのは当たり前、また商品によっては1~3%の販売手数料がかかっていました。

冴えないパフォーマンスなのに手数料が高く、投資商品の数は少なくて特定口座も利用できない。こうした中で米国株に目を向ける人は当時とても少なかったのです。

今イギリス株を買えるのか

私は2000年代のアメリカ株の投資環境は、今のイギリス株の投資環境に少し似ているなと感じました。

イギリス株についてはVUKE、ISF、EWUといったインデックスに連動するETFがありますが、これらのETFは日本の主なネット証券から買うことは出来ません。またロンドン証券取引所からの買い付けも出来ません。

高配当株に特化した投資信託はありますが、信託報酬は年1.8625%とかなり高いです。

野村証券のような総合証券であれば買えるかもしれませんが、店頭で株を買う場合はネット証券と比べて売買手数料や為替手数料がとても高いです。

またイギリス株の直近の投資成績は冴えません。直近10年間のパフォーマンスはS&P500が156.81%もの高リターンを残していたのに対し、イギリス株を代表する指数であるFTSE100に連動するETFであるEWUはなんとマイナスの成績です(ドルベース、配当は除く)。

 

対する2000年代のアメリカ株について、当時流行していた新興国株と成績を比較してみたいと思います。

新興国株に投資する代表的なETFであるVWOとS&P500について、設定年の関係で2005年4月から2009年末までの比較になりますが、VWOは73.55%のプラスであったのに対し、S&P500はマイナスに沈んでいます。

上記チャートにはない2000年代前半も、アメリカはITバブル崩壊が起きているので両者の成績差は容易に推察できると思います。

以上を鑑みると、当時のアメリカ株の投資環境と今のイギリス株の投資環境は似ているかなと思うのですが、それでは今イギリス株を買えるのか?買ったとしても主要な投資先に出来るのか?というとそうした個人投資家はほとんどいないと思います。

もしこの先イギリス株が大幅に値上がりしたとして、

「なんで当時の投資家は(超長期で見れば右肩上がりの)イギリス株に投資しなかったの?」

と言われても、こうした状況を鑑みれば今のイギリス株に大きく投資することの難易度の高さからそれが難しかったことがわかると思います。

未来から過去を振り返って「○○年に100万円投資していれば今頃は○○万円に!」というように後知恵で振り返ることはとても簡単ですが、いざそれを実行することはとても困難であるということは肝に銘じた方が良いと私ローンウルフは考えています。

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