やってきたことの歴史と同じぐらい何をやらなかったかを大切にしたい
お疲れ様です、ローンウルフです。
これは投資に限った話ではありませんが、人は普通何かを評価する時に何をやったかを評価し、やらなかったことについて評価されることは少ないです。
それはやったことは目に見えるので評価の対象にしやすく、やらなかったことは通常は目には見えないので評価の対象にしづらいという事情があります。
そして投資の世界でも同じようなことが起きていると思うのですが、私はやったことと同じぐらいやらなかったことを大切にすべきであると考えています。
往々にして落とし穴になることが多い投資ブーム
なぜ「やらなかったこと」を大切にすべきかを考える上で、昨今起きた投資ブームについて考えてみたいと思います。
投資先にはブームというものがあるのですが、昨年も色々なブームがありました。まずは年初にクリーンエネルギーETF、いわゆるクリエネETFへの投資ブームが沸き起こりました。
アメリカではバイデン政権が誕生して環境対策に莫大な投資を行うため、クリーンエネルギーETFはとても安全で儲かる投資先であるとし、S&P500よりも安全な投資先であると喧伝されていました。
S&P500よりも安全な投資先であると言われたクリエネETFのリターンはどうなっているのでしょうか?当時クリエネETFの中心的存在だったQCLNとICLNの2020年末からの価格推移を確認してみたいと思います。
2020年末からの騰落率はQCLN-16.8%、ICLNに至っては-34.67%と暴落しています。
それに対し、S&P500は19.91%と高リターンをたたき出しています。S&P500より安全な投資先であるはずのクリエネETFは、現状ではS&P500に大きくリターンが劣後するばかりか投資元本を棄損する結果となっています。
また同じくブームとなった投資先として、キャシー・ウッド氏率いるARK社の旗艦ファンド、ARKKがあります。
ARKKは破壊的イノベーションを起こしている企業群へ投資するETFとして、2021年の初めごろに日本の個人投資家に大変注目を集めていました。
同じくARKKについても2020年末からの価格推移を確認してみたいと思います。
2020年末からの騰落率はマイナス40.75%と、先ほど挙げたクリエネETF以上の暴落となっています。
ARKKは日本の証券会社からは投資できなかったため、海外のサクソバンク証券の口座開設を促すアフィリエイト記事も盛んでした。
過去に記事にしたこともありますが、こうした散々な投資リターンを見るとARKKが日本人が気軽に買えるようなものではなくて本当に良かったと思います。
最後に、今でもブームが続いているナスダック100へのレバレッジをかけた投資についてです。
昨年の夏ごろから、社会的な技術革新を起こすハイテク企業の多いナスダックへの投資は成功が約束されている、成功が約束されているならレバレッジをかけてリターンをもっと伸ばすべきだ、といったようなナスダックへレバレッジをかけて投資するいわゆる「レバナス」への投資がブームとなっています。
またナスダック100に2倍のレバレッジをかけた投資信託を積み立てる「ツミレバ」というものも流行っているそうです。
さて、今回のブームはこれまでのブームと違って成功を収めることが出来ているのでしょうか?
それを確認するため、私の主力投資先の1つである生活必需品のセクターETFであるVDCと、ナスダック100に2倍のレバレッジをかけているQLD、3倍のレバレッジをかけているTQQQについて直近1年間の価格推移を見ていきたいと思います(黒がVDC、赤がQLD、緑がTQQQ)。
革新的な企業群を多く抱えたナスダックに投資するレバレッジETFであるQLDとTQQQは、コカ・コーラやP&Gといった日用品等を売っているオールドエコノミー企業の多いVDCのリターンを下回っています。
「投資は結果が全て」と言う人もいますが、ナスダックへのレバレッジ投資ブームに乗った人は、6年連続で市場平均を下回り、リターンもショボいはずの退屈な投資先である生活必需品セクターETFのリターンすら下回っているのが今の結果です。
またチャートを見てもらえるとわかる通り、ここ1年のボラティリティはものすごく高いのにリターンは悪いというシャープレシオ上も非常に効率の悪い値動きとなっています。
秋冬からの下落幅は大きく、「ツミレバ」によってレバレッジ投信を積み立てていた場合、このチャート以上にリターン差が広がることになります。
もちろんこの先巻き返しが起こるかもしれませんが、少なくともブームになってから投資すると不利な状態から始めることになるのはこのチャートを見ていただければわかると思います。
形に現れない「やらなかったこと」を大切にしよう
これら紹介した3つの投資ブームについて、私自身は投資資金を1円たりとも投じることはありませんでした。なぜなら、ブームになっている投資先というものは、往々にして悲劇的な結末を迎えることが多いことを知っていたからです。
投資ブーム時はバブルに乗らないのは馬鹿だ、儲ける気がないというような論調を見かけますが、実際に損失を出して馬鹿を見るのは周りに流されて後からブームに乗ろうとした人たちなのです。
最初の話に戻しますが、私はこうした投資ブームに乗らなかったおかげで大きな損失を免れることが出来ました。しかしこの「やらなかったこと」について評価されることは非常に少ないです。なぜならやらなかったことは実際の結果として目に見えないからです。
反対に何かに投資をして高いリターンを上げた時には自身でその評価を実感することが出来ます。それはリターンという目に見える形で評価をすることが出来るからです。
一般的には後者のような目に見えることのほうが評価されますが、前者の目には見えない「やらなかったこと」も同じぐらい評価すべきであると私は思います。それは利益を得るのと同じぐらい損失を避けることが資産を形成していくために非常に大切だからです。
これらは投資の世界に限った話ではありませんが、やったことと同じぐらいやらなかったことを大切に扱うべきではないかと私ローンウルフは考えています。