リーマンショック直後に出た日経ヴェリタスを読み返してみた
お疲れ様です、ローンウルフです。
リーマンショックからもうすぐ10年が経とうとしています。私は10年以上前から不定期に日経新聞社の日経ヴェリタスを購読しているのですが、自宅にリーマンショック直後の日経ヴェリタスを保管していたのでちょっと読み返してみました。1面のタイトルと共に当時の記事を振り返っていきたいと思います。
「クレジットパニック」(2008年9月21日~27日)
リーマンショックが起きたのは2008年9月15日ですから、まさしくリーマンショック直後の発行です(記事の内容は9月14日から9月20日までの出来事を反映)。この号ではインターバンク市場やクレジット市場の当時のパニックぶりが生々しく表れています。
2%ほどであったLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の翌日物の金利が、わずか4日後の16日には6%を超す大暴騰を起こしました。9月12日には1.6%ほどであったアメリカの短期国債3か月物の利回りが、5日後の9月17日には0.03%と67年ぶりの水準まで急落しました。
日経ヴェリタス第28号より
金融機関各社のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ、企業や有価証券の債務不履行リスクを取引するデリバティブ取引)の価格は跳ね上がり、かのモルガン・スタンレーがCDS市場においては倒産確率50%強の水準まで追い込まれました。金融市場ではまさしくパニックともいえる急激な信用不安が巻き起こったのです。
しかし「金融資産価格が暴落して信用収縮の悪循環に陥っただけだから、需給バランスが復元すれば、事態は解決する」との意見や、「安定感を評価して日本株への資金配分を増やそうと考えているところはある」などと楽観視している金融機関関係者もいました。しかしそうした方たちの楽観論は続く暴落劇に見事に打ち砕かれることとなるのです。
「危機ドミノ」(2008年10月5日~11日)
9月25日にはアメリカの預金取扱期間最大手であるワシントン・ミューチュアルが過去最大の破たん、9月29日にはアメリカ議会の下院が金融安定化法案を否決したことにより、NYダウが当時としては最大の下げ幅となる777ドルの急落(率にして6.98%の下落)。まさしく「危機ドミノ」と呼べる状況が続いていました。
その安全性の高さから、預貯金代わりとして利用されているMMF(マネー・マーケット・ファンド)。そんなMMFからも400兆円のうちおよそ20兆円が流出。安全志向の極端な高まりから、短期証券が組み込まれているMMFですら売りの対象となりました。
日経ヴェリタス第30号より
また、業績の安定性の高いアメリカのAT&Tですら期間の長いコマーシャルペーパー(短期資金調達の目的で発行する無担保の約束手形)が発行できなくなる事態に陥りました。民間の銀行間取引であるはずのインターバンク市場も
「中央銀行と借り手の民間銀行の取引という意味に変わった」
と言われるほど金融機関同士の取引は目詰まりを起こしていました。
「次は何が起きる」(2008年10月12日~18日)
リーマンブラザーズ倒産に端を発した世界的な金融危機は、日本国内においても大きな影響が出ていました。
日経平均株価は10月8日に前日比9.38%も下げて1万円割れ、10月9日には「借り換えに応じてくれなかった」として、ニューシティ・レジデンスが上場REITとして初の破たん、金融危機の影響を受けて10月10日に大和生命保険が破たん、日経平均は前日比9.62%下落し再度の株価急落。市場参加者の声として
「ブラックマンデーが2回来た」
「市場心理はシベリアのように凍り付いている」
との声を紹介。まさしく「次は何が起きる」とも呼べる状況が日本においても起き続けました。
日経ヴェリタス第31号より
そんな金融危機のさなかでも値上がりしていた数少ない金融商品は「金」です。NY市場で9月15日(始値)に1トロイオンス778.1ドルを付けていた金価格は、10月10日(終値)には855.4ドルと10%近く価格が上昇。危機時の強さを見せつけました。
あなたはそれでも「株価の急落に耐えられる」と言えますか?
以上、リーマンショック直後の状況を当時の日経ヴェリタスの記事と共に振り返ってみました。私は投資をするにあたって、あまりフルインベストメントを推奨していないんですが、こうした株価の暴落局面を身をもって体感しているからこそ、こうした結論に至ったのです。
ちなみになぜリーマンショック直後の日経ヴェリタスをまだ持っているかというと、これは歴史的な株価下落になる、この歴史的な下落局面を後から振り返るいい材料になるのではないかと思い、ずっと保管していました。リーマンショックを経験していない投資家が増えている中、当時の雰囲気を少しでも感じてもらえたら幸いです。