生活保護申請時に顔写真撮影って問題なの?生活保護の身分確認について現場の職員が語ります

2023年11月15日

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お疲れ様です、ローンウルフです。

朝日新聞の報道によると、三重県鈴鹿市が生活保護の申請を受け付ける際、一部の申請者の顔写真を撮影していたとのことです。

Yahoo!ニュース
 
生活保護申請時に撮影 「不正受給を前提」の対応か?(朝日新聞デジタル) - Yaho...
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190219-00000096-asahi-soci
三重県鈴鹿市が生活保護の申請を受け付ける際、一部の申請者の顔写真を撮っていたこと - Yahoo!ニュース(朝日新聞デジタル)

 

撮影した顔写真は身分確認の際に使われ、撮影も本人の同意のもとに行われ、直接的な違法性を裏付けるものはないものの、人権上問題ではないかとの弁護士の見解が記事に載っていました。

記事では「申請時」とありましたが、NHKの報道によると申請した時に写真撮影されるわけではなく、正式に保護が決定した後に身分証明のために写真撮影が行われるとのことでした。

実際の生活保護の現場では身分確認はどのように行われているのでしょうか?現役のケースワーカーである私ローンウルフが解説したいと思います。

生活保護の現場で行われる身分確認の方法

まず初めに断っておきたいのが、身分確認の方法については全国的に統一されたルールはなく、各自治体が自治体ごとの基準を作って身分確認を行っているということです。

ただ身分確認の手段も限られているので、どこの自治体でもほとんど同じような身分確認方法がとられていると思います。

身分確認は現金の引き渡し、医療券の発行の際などに行っています。ちなみに医療券とは、病院に行く際に必要な書類のことです。

私がいる自治体では、まず担当のケースワーカーが生活保護受給者本人であるかどうかを確認します。担当のケースワーカーがいない場合は、前任のケースワーカーがいればその前任のケースワーカーが確認をすることになります。

担当も前担当もいない場合、身分証明書による本人確認を行うことになります(担当がいない場合はそのまま身分証明書を提示してもらうことが多いですが)。私がいる自治体では基本的にはまず顔写真付きの身分証明書を提示してもらっています。具体的には主に以下のものです。

・運転免許証
・運転経歴証明書
・障がい者手帳
・マイナンバーカード
・パスポート
・在留カード
 etc…

これらがある人はいいのですが、無い場合には福祉事務所で持っている情報と照らし合わせる、もしくは病院の診察券や介護保険証、銀行の通帳やカード、マイナンバー通知カード(前述したものとはマイナンバーカードとは別のものです)のうち2つを提示してもらい、生年月日と住所、名前を確認しています。

ただ私のいる自治体では特に現金の取り扱いの際は身分確認を厳格に行っており、担当や前担当もおらず顔写真のある身分証明書がない場合には、現金の引き渡しをお断りしています。持っていれば身分証明書を借りてコピーを取らせてもらっています。

「不正受給を前提にした対応」の何が問題なんでしょうか?

なぜこうした厳格な本人確認を行っているかというと、万が一悪意の第三者が本人を装ってお金を受け取りに来た場合、そのお金が本人の手元に渡らなくなってしまうからです。

もしそのような事態が起きた場合には、例外的な予算措置を取って保護費を手当てするのかもしれませんが、そもそもそうしたことが起きたことがなく、ほかの自治体からもこうした話を聞いたこともないので実際の所どうなるのかはわかりません。

自治体側としては、こうした不正行為に対応するのは当然のことであると思います。ですが該当の記事には「不正受給を前提にした対応で、写真を撮る合理的な必要性がなく、人権的にも問題がある」との弁護士の意見が載っています。

ですがなぜ不正受給を前提にしてはいけないのでしょうか?元手は税金ですよ?今回の場合に想定される不正受給は受給者本人ではなく、あくまで受給者以外の人間が起こすものであり、より一層厳密に取り扱われるべき件であると私は思います。

また本人確認ができない場合には本人に長時間待ってもらったり日を改めて来庁してもらわなければならず、合理的な必要性がないとは言い切れないと思います。

私自身も窓口に出ることが多いのですが、身分証明書を持っていない人はそれなりにいるため、何か生活保護の現場独自の顔写真付きの身分証明書があればいいのになと思う時があります。マイナンバーカードの作成を促したりもしてますが、時間と手間がかかってしまうので受給者が作成に二の足を踏んでるのが現状なんですよね。

現状の方法以外で身分確認ができる日が来るのを切に願っています。

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