ヒビが入り始めたアメリカの雇用
お疲れ様です、ローンウルフです。
11月3日にアメリカで10月の雇用統計が発表されました。結果は以下の通りです。
・非農業部門雇用者数 予想 19万人 結果 15万人
・失業率 予想 3.8% 結果 3.9%
上記の通り、非農業部門雇用者数は市場予想を下回り、失業率は市場予想を上回って悪化しました。
失業率について9月のFOMCでFRBが発表した12月の失業率の見通しが3.8%であったことを考えれば、10月の時点で3.9%に達したという事はFRBの想定以上に雇用環境が悪化し始めたと考えていいでしょう。
ヒビが入り始めたアメリカの雇用
雇用の悪化については他の指標でも少しずつ現れ始めています。
10月第4週の新規失業保険申請は21万7千件とおよそ1か月半ぶりの件数に、失業保険の継続受給件数に至っては181万8000件と4月中旬以来の水準にまで達しているのです。
また下記のグラフを見てもらえると、その増加ペースが減少時と比較して急激に増加していることが見て取れると思います。
下がり始めた長期金利と政策金利の推移予想
また同日に発表されたISM非製造業景気指数も市場予想を下回ったこともあり、アメリカの長期金利は下落。
10年物国債の利回りは現在4.576%と、9月29日以来およそ1か月ぶりの水準に下落しました。
また今後のアメリカの政策金利の推移について、CMEのFedWatchにおいて雇用統計発表前は来年6月利下げ開始・年3回の利下げが予想されていましたが、雇用統計発表後は5月利下げ開始・年4回の利下げと利下げ時期の前倒し、利下げ回数の増加が見込まれるようになりました。
雇用の悪化を手放しで喜んでいいのか
こうした雇用の悪化を受けた長期金利の下落を受けて、「金利の下落によって株価は上がる、買いだ!」といった考えを持っている人が少なくありません。
たしかに長期金利の低下は借り入れコストや割引率の低下をもたらすため、株式にとってはプラスとなります。
しかしそもそも雇用の悪化や金利の低下はリセッション入りを織り込んだものであり、必ずしもプラスの要因にだけなり得るものではありません。
また一部には「金利の低下によってハイパーグロース株の株価が大きく上昇する、買いだ!」と考えている人もいるようです。
しかしリセッションの到来はキャッシュフローすら稼いでいない財務状態の悪い企業に真っ先に悪影響が及ぶわけですから、比較的近い将来のリセッション到来が見込める場合にはこうしたハイリスクな投資先には手を出さない方が賢明です。
上記3つのチャートはハイリスクな投資先を好む人たちが投資していたハイパーグロース株の一部です。
日本でも幅広く使われてとても有名なZoomですが、あのZoomでさえ最高値から9割近く値を下げています。
SKLZ、Wishに至っては最高値から100分の1以下にまで株価が落ち込んでいるのです。
著名なインフルエンサー達が強気になると、自分もそれにつられてハイリスクな投資先で一発当てたくなる気持ちもわかります。
しかしそんな時は上記のチャートを見返して、リセッションが見込まれて下方へのリスクが高い時に、ハイパーグロース株のようなハイリスクな投資先に手を出すのは避けたほうがいいと私ローンウルフは考えています。