果ての国、ニッポン
お疲れ様です、ローンウルフです。
私はこのブログでブラックスワン、つまり滅多に起こらないもののそれが起きた場合に甚大な影響を与える出来事に対して、上昇相場の頃から警戒すべきと繰り返し話してきました。
一般的にブラックスワンは比較的短期間で終わるショックが多いです。例えばアメリカのブラックマンデーやコロナショックなどが挙げられます。
これらのブラックスワンは短期的とはいえ多大な影響を与えますし、警戒すべき事象です。しかし本当に怖いのはこれらの短期間で終わるタイプのブラックスワンではないのです。
「月並みの国」と「果ての国」
とここで本題に入る前に、ブラックスワンを語るうえで外せない「月並みの国」と「果ての国」という考え方についてお話したいと思います。
「月並みの国」と「果ての国」とはニコラス・タレブの著書「ブラック・スワン」において示された概念です。
月並みの国とはブラックスワンのような事象が起こらない事を想定した仮想世界で、果ての国とはブラックスワンのような事象が起こる世界、つまり今私たちが生きている現実の世界です。
よく投資リターンのシミュレーションで「株価の値動きがブラウン運動に従うとすれば~」という表現を見かけます。
これはまさしく「月並みの国」の原理に基づいてブラックスワンが無いことを前提としたシミュレーションであり、現実の世界で適応させると無理が生じます。現実の株価は純粋にランダムな値動きになっていないからです。
そのため金融危機が起こるたびに「月並みの国」の原理に基づいて投資を行っているファンドが吹き飛んでしまうのです。
35年間にわたって最高値を更新していない日本のTOPIX
短期間で終わるブラックスワンであれば、期間としては数年で終わります。数十年の投資期間を見込んでいる人にとっては時間さえ過ぎれば次第に資産は回復していきます。
しかし長期にわたって影響が残り続ける稀な事象が発生した場合、我々の資産形成にとって致命傷になりかねません。
そんな稀な事象が発生した国が身近にあります。それが我々の住む国、日本なのです。
日経平均株価こそ今年に入ってようやく史上最高値を更新したものの、インデックス投資家に好まれる時価総額加重平均を採用しているTOPIXは、1989年12月18日に2884.8ポイントを記録して以降、35年間にわたって最高値を更新できずにいます(2024年4月現在)。
配当を加味すればプラスのリターンにはなるんでしょうが、それでも同じ期間の他国の株式リターンと比べたら比較にならないぐらい低いリターンに留まっています。
絶対主義の危険性
これを見て「アメリカのようなイノベーションが起き続けている国で日本のような事が起こるわけがない!」と思う人もいるかもしれません。自分もそう思っています。
ですが時価総額世界1位と飛ぶ鳥を落とす勢いであった1980年代末の日本において、その後30年以上にわたって株価が最高値を更新出来ないだなんて一体誰が想像出来たでしょうか?
このブログで何度もお話していますが、未来から過去を振り返って「あの時こうしていれば高いリターンをあげられていた」と語るのはとても簡単なのです。
特定の投資対象に対して絶対的な考えは持たず常に懐疑的・保守的でいた方が、こうした長期にわたって起こるブラック・スワンの影響から逃れ得るのではないかと私ローンウルフは考えています。