感情は時に論理を凌駕する

2023年11月15日

スポンサーリンク

お疲れ様です、ローンウルフです。

私が相場を見る際に常々考えていることは、自らの感情についてです。いかに投資判断を感情の影響から逃れられるようにするか、それが相場において生き残るうえでとても大切だと思っているからです。

私はこれまでこのブログで「人間は感情の生き物である」ということを訴えかけてきました。ですがしっかりと論理的な判断をすれば相場の荒波をくぐり抜けられると考えている人もいると思います。

ですが私はそう思う方々にこの言葉を送りたいと思います。それは

「感情は時に論理を凌駕する」

です。

感情が確率的には有り得ない出来事を引き起こしてきた

これは誰か有名な人の言葉というわけではなく私が勝手に思いついた言葉なんですが、私の投資哲学の根幹を成している考え方の1つです。

この言葉の中の「時に」というのがポイントです。相場が落ち着いていて冷静な判断を下せるようなときは、相場参加者も論理に基づいて判断を下せると思います。

しかし相場が急変して株価が急落した時、人はそれまで投資判断の際に準拠していた論理を投げ捨て、恐怖から逃れたいあまり論理よりも感情に基づいて投資判断を下すのです。


 

1990年代後半、「世界最強のヘッジファンド」と呼ばれたファンドがありました。それがLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)です。

彼らは世界最高級の頭脳を抱えたヘッジファンドで、このファンドにはノーベル経済学賞受賞者であるマートンとショールズが参加していました。

彼らのファンドの収益源はアービトラージです。アービトラージとは、2つの物の間の価格差が収れんするさまを利用して収益を得ようとする投資手法です。

彼らのモデルはあくまで人々が合理的な判断を下すとの前提のもとに組まれていました。確かに相場が平穏な時は彼らの言うように価格差が収れんし、ファンド開始当初は多額の利益を上げることができました。

しかしアジア通貨危機やロシア通貨危機が勃発。LTCMと同じようなポジションを組んでいた同業者たちは我先にとポジションを解消、価格差は縮まるどころかみるみるうちに広がっていきました。

人々が合理的な行動をとるという前提のもとに論理的に構築された投資手法は、人々の感情的な行動により脆くも崩れ去ってしまいます。最終的には彼らのファンドは破綻に追い込まれていってしまったのです。

なおこの時の経緯について、過去に記事にしているので、よければご覧ください。

 

またいわゆるサブプライムローン問題においては、返済能力の低い借り手を集めた債権でも、高度な金融理論を用いて証券化されているため理論上は極めて安全性が高いとされ、格付会社から一番信用度の高いAAAの評価をつけられていました。

しかし住宅価格の上昇が鈍化し始めると次々と債務不履行が発生。証券化商品はリスクを分散させていたどころかかえってリスクがどこにあるかわからない状態にさせてしまい、金融機関同士を疑心暗鬼にさせる原因となり、極度の信用不安が発生して市場は恐怖に支配されてパニック状態に陥るのでした。

パニック状態に陥った市場を支配するのは理論なんかではありません。とにかくこの恐怖から逃れたいという人間の感情が支配し、売りが売りを呼ぶ展開となってしまうのです。

今のように相場が好調な時は、論理に基づいた市場というものが形成されるでしょう。ですがひとたびパニックが訪れ皆が恐怖の感情に襲われた場合、感情が論理を凌駕するのは歴史が証明しているのです。

過度な心配は不要だが、時に感情が支配する局面が訪れることを忘れるな

ただしこうした機会はまれにしか起こりません。過度に心配しすぎてリスク資産の比率を落としすぎるのも良くはないと思います。

ですが時には感情が論理を凌駕するような局面があることは、覚えておいた方がいいと思います。今のように長く強気相場が続くと、リスクがこの世から消え去ってしまったかのような錯覚に陥りますが、いつかそのリスクが顕在化する時が必ず来ます。

その時まで私のこの「感情は時に論理を凌駕する」という言葉を頭の片隅にでも置いておいてほしいと私ローンウルフは考えています。

↓↓↓応援のクリックをして頂けると大変うれしいです(^^)
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

スポンサーリンク