資産額を比べることの無意味~トレッドミル効果~
お疲れ様です、ローンウルフです。
株式投資等の資産運用をしている人たちは、自分の老後資金の確保のため、また将来の高額消費のために運用をしているという人たちは多いと思います。
しかし資産運用をする中で、ついつい他人の資産額と自分の資産額を比べてしまって自分の資産額の少なさを気にしてしまう人も中にはいると思います。
しかしそうした他人と自分の資産額を比べる行為は自分の資産を過剰にリスクに晒してしまう恐れがあるのでやめたほうがいいと思います。
他人との資産額比較は過剰なリスクテイクを招く
なぜなら自分の資産額と他人の資産額を比べてしまうと、その人の資産額に追い付け追い越せの考えが浮かんでしまい、その人の資産を上回るために過剰なリスクをとってしまうことにつながるからです。
過剰にリスクをとってしまうと、昨今のような下落相場に直面した時にリスクが一気に顕在化してしまい、資産額を増やすどころか大きく落ち込ませてしまう結果を招きかねないのです。
インターネットが発達したこの時代、自らの資産額を自慢げにひけらかす人もいますが、どこの誰とも知れない、本当に持っているのかもわからない赤の他人の資産と自分の資産を比較することはないのです。
また資産額の比較について、ナシーム・ニコラス・タレブは著書「反脆弱性[下]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」の中でこのように触れました。
金周りがよくなると、あなたはコネチカット州グリニッチ(※)に引っ越す。2000万ドルの豪邸に住み、100万ドルの誕生日パーティーを開く人の隣に来ると、あなたはとたんに貧民になる。
※ アメリカの高級住宅街
結局資産の少ない多いというのは相対的なものです。1億円という資産を持っていれば確かに一般的なサラリーマンたちと比べて多額の資産を保有しているといえるでしょう。
しかし上には上がいます。自分より資産を持っている人は数多くいるわけです。そうした人たちと資産を比べてしまうと自分の今の資産額に満足できなくなってしまい、いくら資産を築いても満たされなくなってしまうのです。
こうした人たちのことをタレブは「永遠にじらされつづける階級」と呼び、次のように指摘しました。
この階級の連中は、永遠の罰を受けたタンタロスに似ている。彼は果樹の下の水たまりの中に立たされた。彼が果実をもぎ取ろうとすると果実は遠ざかり、水を飲もうとすると水は引く。
この永遠に満たされない心理的な過程をタレブはトレッドミル効果と呼び、自立するということは金額の問題ではなく、心の問題であると喝破したのでした。
他人との資産額比較よりも自分がやりたいことをやれるだけの資産があるかの方が遥かに重要
資産額を比べるという行為は、過剰なリスクテイクを招くという形で自分の資産に悪影響を与え、また心理的な面から見ても「永遠にじらされ」てしまい、いつまでもその心理的な欲求が満たされなくなってしまうのです。
もちろんポジティブな影響を与えることが出来るのであればそれに越したことはないですが、多くの場合はネガティブな影響を与えることの方が多いと思います。
他人と資産額を比べることよりも、自分がやりたいことをやれるだけの資産額を築けるかどうかの方が、あなたにとっては遥かに重要です。
それに気付けるかどうかが、本当の意味でお金に困らない生活を送るために大切であると私ローンウルフは考えています。