テスラが今の時点でS&P500に採用されなかったのはインデックス投資家にとっては朗報だ
お疲れ様です、ローンウルフです。
連日のように株価上昇を続けていたテスラ。しかし9月に入ってからはその風向きが変わり始めました。そんな中でテスラがS&P500への採用が見送られるとの情報が入り、株価が大きく下落。9月8日のNY市場では前日比で約21%の下落と株価が暴落しました。
翌日は大きく反発したが、それでも下落分の半分しか戻していない
VOOのようなS&P500を投資対象とした金融商品へ投資している人の中には、テスラのような勢いのある銘柄がS&P500に採用されなかったことを残念に思う人もいるかもしれません。
しかし私としては、こうしたS&P500指数に連動する金融商品を保有するインデックス投資家にとっては、テスラが「今の時点」でS&P500に採用されなかったのは朗報なのではないかと考えています。
時価総額加重インデックスの落とし穴
アメリカ株投資家にはおなじみ、ジェレミー・シーゲル教授はその著書「株式投資」の中で、インデックス投資の問題点につき「時価総額加重インデックス投資の落とし穴」として以下の点を指摘しました。
インデックス投資、なかでもS&P500指数に連動するファンドの人気は、将来、インデックス投資家にとって問題となるかもしれない。
その理由は簡単である。ある銘柄がS&P500指数の構成銘柄として追加されて、その銘柄の価格が上昇することになれば、インデックス投資家は、将来の利回りを圧迫する割高な株式を保有することになる。
具体例としてシーゲルはヤフーを挙げました。
ヤフーがS&P500に採用されるとの発表をスタンダード・アンド・プアーズ社が行った1999年11月30日から、実際にインデックスファンドがヤフーを組み込んだ日の12月7日までのわずか5営業日の間に株価は64%も高騰し、インデックスファンドは非常に高い値段でヤフーを購入せざるを得ませんでした。
似たようなことがテスラでも起きていました。S&P500指数へ採用されるのではとの期待もあり、テスラの株価は急激に上昇。5月末に167ドルであったテスラの株価は(株式分割後の株価で表記)、わずか3か月後の8月末には498.32ドルとたったの3か月で3倍近くにまで急騰していました。
またPERも実績値で1000倍を超え(8月末時点、ガイダンスないため予想PERは算出できず)、その利益も排出権取引による売却益がなければ達成できなかったという代物にすぎませんでした。
またテスラは一時アメリカの時価総額で第7位にまで時価総額が膨れ上がっており、インデックスに組み込む場合にはそれなりの割合を割かなければならない状態でした。
それでも影響は軽微なものなのかもしれませんが、非常に割高な状態のテスラを大量につかまされずに済んだという意味では、S&P500指数に連動する金融商品を保有するインデックス投資家にとっては朗報だったのではないでしょうか?
将来的にテスラがS&P500に組み込まれるのは否定しない。というかしないと歪みが生まれる
とはいえ、私のこうした考え方はインデックスファンドの構造から見たら必ずしも正しいとは言えないかもしれません。なぜなら、アメリカの時価総額第7位の銘柄を組み込まないような指数が、はたして指数としての正当性があるといえるのか、という問題があるからです。
アメリカを代表する企業500社の中に、時価総額第7位の銘柄が組み込まれないというのは、ファンドの形としては少しいびつなのではないかと思います。
なお私がインデックス投資家から見たらテスラがS&P500に採用されなかったのは朗報だったのではという話は、あくまで「今の時点で」という意味です。将来的にもう少しバリュエーションが落ち着いてから採用されることについてまで否定するものではありません。
こうしたバリュエーションの観点から投資対象を見るのは、当然ながら個別銘柄への投資においても同じです。
ここまで急激な株価上昇を見るとついつい株の値動き自体に着目して飛びつきたくなる気持ちもわかりますが、大きな痛手を負うリスクを減らすためにも、バリュエーションにも着目した上で投資判断を下したほうがいいのではではないかと私ローンウルフは考えています。
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