本当に「東京の『生活保護』はまったく機能していない」のか?

2023年11月15日

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お疲れ様です、ローンウルフです。

先日たまたまインターネットで、生活保護に関しての現状を対談形式で記事にしているものを見つけました。

 

この記事の内容は主に貧困について議論しているんですが、その中で記事のタイトルにもある通り生活保護も話題に上がっており、東京の生活保護について「まったく機能していない」と断じていました。

果たして東京の生活保護は本当に「まったく機能していない」と断言できるほどの状況に陥っているのでしょうか?現役の生活保護のケースワーカーである私ローンウルフが調べてみました。

東京都民の保護率は2.08%

まずは東京都内の保護率、つまり東京都民の内どれだけの割合の人が生活保護を受けているのかを示したいと思います。

東京都の統計によると、平成30年12月における東京都民の保護率は20.8‰です。ちなみに「‰」という記号はパーミルと呼び、1000分の1をあらわす記号です。生活保護の統計上においてはこの単位が使われるのですが、%に直すと2.08%の人が生活保護を受けており、数の上では東京都民のおよそ50人に1人は生活保護を受けていることになります。

東京都民のおよそ50人に1人の生活保護を受けている状態で、果たして「まったく機能していない」と断言できるのでしょうか?

家賃補助が受けられる「住居確保給付金」

また記事の中では、こうした発言がありました。

生活保護の分離論というのですけど、いまの制度はもう生活に困窮したら8つの扶助をガーンと全部支給。ほかの国だと、困窮する前に予防的に分離して支給する。とことん困る前に社会保障を支給することは、世界的にみると標準的な福祉政策です。

 

これはやや誤解のある表現だと思います。生活保護費というのは、国で決められた最低生活を送るうえで必要な金額と収入を比べて、その差額を保護費として支払います。

 

例えば、ある人の生活費が月当たり8万円と定まっていて、家賃5万円の物件に住んでいたとします。合計で13万円が最低生活を送るために必要な金額となります。

その人が年金を月換算で9万円もらっていた場合、生活費に当たる生活扶助費の8万円は支給されません。住宅扶助費の部分のみ、この事例では13万円と9万円の差額の4万円のみが住宅扶助として支給されます。したがって生活保護を受給しているからといって必ずしも「8つの扶助をガーンと全部支給」しているわけではないのです。

ちなみに生活保護制度とは別に「住居確保給付金」という制度があります。これは、離職者で就労の能力と意欲のある人のうち、住宅を喪失している人又は喪失するおそれのある方を対象として、住宅費を原則3か月間支給するという制度です。短期間ではありますが、家賃の支払いに困っている人を助けるための制度は存在しているのです。

あと記事の以下の部分に個人的に憤っています。

公的機関の男性正規職の女性非正規に対するパワハラもすごいみたいだし、もう日本はダメなんだなって感じる。

 

そういった機関も探せばどこかにあるのかもしれませんが、少なくともウチの自治体では見たことがありません。あまりどこでもやっているかのような表現は使ってほしくないですね。

社会保障負担率の増加を伴う社会保障給付の増大には社会的なコンセンサスの形成が必要

社会保障の充実について諸外国、特にヨーロッパの国々と日本が比較されることがよくありますが、そうしたヨーロッパの国々と日本では税や社会保障の負担に大きな差があります。ヨーロッパの国々では約20%もの消費税率がかけられているのです。

別に私自身は社会保障を充実させるために、消費税を含めた社会保障負担率を高めていくことは一つの方法としてはアリだと思います。ただおそらくはそこまでのコンセンサスが社会に広く形成されているとは言い難いでしょう。

社会保障の問題に関しては、負担と給付をワンセットで議論していくべきではないかと私ローンウルフは考えています。

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