最近見る機会がめっきり減ったある株価指標
お疲れ様です、ローンウルフです。
一時期はよく目にしたものの、最近はめっきりと見る機会が減ってしまった株価指標があったなぁということに最近ふと気づきました。
それはPSRという指標です。
PSRとは株価売上高倍率のことで、時価総額を年間の売上高で割ったものです。このPSRという株価指標は去年の秋から今年の春先ぐらいまでよく見かけました。いわゆる小型ハイテクグロース株への投資が盛んだった時期ですね。
利益やキャッシュフローを生み出していない企業への投資を正当化するために持ち出されたPSR
当時はなぜこのPSRという指標が流行ったのでしょうか?それはこれらの小型ハイテクグロース株は未だ利益を出していなかったり営業CFがマイナスの企業が多く、会社の価値を計るために利用するPERやPCFRといった指標が利用できなかったからです。
赤字企業や営業CFがマイナスの企業でもPSRを用いれば、価値を計ることができるというわけです。このことについては過去にも記事にしました。
このPSRという指標は当時なぜその名前が急に盛んに聞かれるようになったのでしょうか?それは従来の株価指標で価値を測定できないような銘柄への投資を正当化するため、これまであまり使われていなかった指標が持ち出されたと考えられます。
日本の1980年代の株式バブルや1990年代末に起きたアメリカのITバブルなど、これまでの歴史の中でもこうしたことは繰り返されてきました。そして往々にしてこれらの銘柄はブームが過ぎ去ると人々の記憶から姿を消していきます。
そしてそれは今回も変わりませんでした。当時持ち上げられていた銘柄群の多くが値を消し、名前を目にする機会もグッと減りました。そして当時よく使われていたPSRという指標を目にする機会もかなり少なくなっていったのです。
売上すらまともに上げていない企業にとんでもない価格が付き始めた
それでも売り上げがたっているだけまだマシな方なのかもしれません。今や売上すらろくに上げていないのにとんでもない価格がついている企業が登場し始めました。
そう私に思わせたのがアメリカで11月10日に新規上場したリビアンです。この企業は新興のEVメーカーなのですが、これまでの販売実績はわずか150台ほどです。
にもかかわらず11月16日時点でのリビアンの時価総額はおよそ1530億ドルとなり、フォルクスワーゲンの1370億ドルを上回っているのです!
リビアンが生産するEVはSUVやピックアップトラックであり市場全体のパイはセダンよりも大きい、今は販売実績がないに等しくても今後販売を伸ばすことが見込まれるといった事情もあります。投資は過去の実績よりも将来の見込みを重視すべきだとも思います。それでもこの値付けはちょっと異常なのではないかなと私は思います。
今後十万単位の規模での受注も獲得しているようですが、テスラやトヨタですら半導体の調達に苦戦している中で、新興EVメーカーであるリビアンがどのように半導体を調達するのでしょうか?今後の動向に注目が集まります。
素晴らしい技術が素晴らしいリターンをもたらすとは限らない
私のようにこうした熱狂に異を唱える人間は、その熱狂の渦中にいる人からは「救いようのない現代の『ラダイト主義者』と」蔑まれるわけですが、こうした熱狂が覚めた場合にどのような道をたどるかは考えておいた方が良いと思います。
革新的な技術は社会に良い変化をもたらしますが、そのような変化があなたに素晴らしい投資リターンをもたらすかどうかは別の話なのです。
こうした熱狂は意外と長く続き、このようなブームに乗った企業の株価上昇を羨ましく思う人もいるかもしれません。しかしあえてこうした熱狂から距離を置くことが、あなたの大切な資産を守るために必要なのではないかと私ローンウルフは考えています。
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