魔神ホールド出来なかったレバナス民
お疲れ様です、ローンウルフです。
流行り廃りのある投資商品。ここ半年ほどはFANG+というアメリカの大型ハイテク株10社に均等投資をする商品が個人投資家に人気となっています。
しかしそれよりも前の2021年、FANG+と同じぐらいの人気を誇った投資商品がありました。
それがナスダック100に2倍のレバレッジをかけた運用をする投資信託「iFreeレバレッジNASDAQ100」、通常レバナスです。
当時は相場の好調さを反映し、レバナスに投資している人たちは「レバナスに投資すれば年率40%のリターンが出せる!」といった極めて強気な意見であふれていました。
そしてレバナスが流行した時期に流行った言葉として、魔神ホールドという言葉がありました。
「魔神ホールド」出来れば誰でもお金持ち?
魔神ホールドという言葉は、レバナスへの投資を推奨してYouTubeや旧Twitterで情報発信をしている風丸という人が生み出した言葉です。
風丸氏いわく、この先どんな株価の暴落や長期停滞局面が起きても、株価の下落に狼狽せずにレバナスをホールドし続ければ最終的にお金持ちになれるとのことでした。
よく「投資は握力」という言葉を聞きますが、レバレッジ商品は下落相場時に大幅に価格が下落してしまうので、他の金融商品以上に握力が求められることを魔神ホールドという言葉を使って彼は主張したかったようです。
ちなみに株価の下落に狼狽してレバナスを売却することを風丸氏は失禁売却と呼んでいましたが、彼はこういうセンセーショナルな言葉を生み出すのが好きなんですね。
魔神ホールド出来なかったレバナス民
レバナスが流行していたのは2021年後半から2022年前半にかけてでしたが、レバナスに投資していた人たちはその後実際に魔神ホールドできていたのでしょうか?
それを確認するため、以下にレバナスの月次資金流出入額のグラフを載せるのでご覧ください。赤のグラフが資金流入を示しており、青のグラフが資金流出を示しています。
レバナスは2023年11月以降、15か月連続で資金流出が続いています。残念ながらレバナス民は魔神ホールドを続けることが出来ませんでした。
冴えないパフォーマンスとそれに伴って起こった降伏
なぜ彼らは「魔神ホールド」出来なかったのでしょうか?原因としてはレバナスのパフォーマンスが冴えなかったことにあります。
年率40%が喧伝されたレバナスでしたが、実際は過去に記事にした通りS&P500を上回るどころか、冴えない保守的な私のポートフォリオすら大きく下回る成績に終わっています。
レバナスの成績が冴えない中で、NVDAを代表とする半導体銘柄やAI関連銘柄、FANG+といった投資対象は大幅に価格が上昇しました。
人は自分が投資している投資先の価格が低迷している中で、他の投資対象が大きく値上がりしているのをただ指を加えて待っていることが難しい生き物です。
ましてやレバナスに投資している人たちはレバレッジを用いて手っ取り早く金持ちになりたい人たちばかりですから、これらの価格上昇を横目で見るだけの状態に耐えるのは困難を極めたと思います。
冴えないパフォーマンスだったレバナスから好成績を出していた他の投資対象に乗り換えるという、ハワード・マークスのいう「降伏」がレバナス民の間に起きたのです。
感情を考慮しない投資理論は破綻する
「リーマンショックのような暴落が起きても魔神ホールドで耐えれば将来は大金持ちに!」
という話は机上の空論で終わったわけですが、魔神ホールドの話にかかわらず感情を考慮しない投資手法や理論は最終的には破綻すると思います。我々は喜怒哀楽のある人間であって感情の無い機械ではないのです。
レバナスのようなハイリスク商品に投資していない人でも、株価の暴落が起きていざ自分の資産額が半分になれば、長期的には株式投資はプラスになる!とわかっていても大半の人はかなり動揺すると思います。
人は自分が思っている以上に精神面でのリスク許容度が低いことを認識しながら投資に臨むべきではないかと私ローンウルフは考えています。