中小型株ファンドの罠。ひふみ投信はあれからどうなった?
お疲れ様です、ローンウルフです。
皆さんは「ひふみ投信」を覚えていますでしょうか?コロナショック以降投資を始めた人は知らない人が多いかと思いますが、5年前の2018年ごろにかけて日本の中小型株に投資する投資信託としてとても知名度のある独立系の投資信託でした。
その知名度はひふみ投信の高いパフォーマンスによるものでした。ひふみ投信の基準価格は2008年9月末から2018年2月末までの期間で5倍にも膨れ上がりました。
当時「女性や株初心者でもカンタンに5倍にお金を増やせる投資信託」としてアフィリエイターにブログで紹介され、ひふみ投信購入のための口座開設を促しアフィリエイターの格好の小遣い稼ぎのターゲットとなっていました。
2018年2月末からちょうど5年が経ちました。あれからひふみ投信のパフォーマンスはどうなっているのか?確認したいと思います。
2018年2月以降のひふみ投信の投資成績
それでは早速ですが、ひふみ投信の現在の基準価格を確認してみたいと思います。
ひふみ投信の2023年2月17日現在の基準価格は55,787円となっています。2018年2月末時点の基準価格は51,377円でしたから、5年間でわずか8.58%のリターンです。
10年間で5倍のリターンを得られたと喧伝されていた投資信託がわずか8.58%のリターンしかあげていないというのはなんとも寂しい限りです。
また記事の最初に挙げたチャートでひふみ投信はTOPIXと比べても高いリターンをあげているとしていましたが、同じ期間のTOPIXの騰落率は12.65%となっており、ひふみ投信はTOPIXのリターンを劣後しています。
またひふみ投信の基準価格は配当再投資後の価格であるのに対してTOPIXは純粋に指数の騰落率のみなので、配当を考慮するとリターンの差はさらに広がります。
中小型株ファンドの罠
これまで高い投資リターンをあげていた中小型株ファンドであるひふみ投信が、なぜTOPIX以下のリターンにまで落ち込んでしまったのでしょうか?それは中小型株ファンド特有の事情があります。
ひふみ投信は中小型株について綿密に調べ上げた上で投資をしていくというボトムアップ型のアプローチをとって高いリターンをあげてきました。
その高いリターンは他の投資家たちをひきつけ、ひふみ投信の規模は大幅に拡大します。
ファンド開始時に1億5千万円しかなかった純資産総額は、およそ10年後の2018年2月には約1330億円と900倍近くにまでファンドの規模は膨らみました。
そうなると困るのが投資先です。これだけの規模となると従来の中小型株のボトムアップ型の手法だけでは運用先をまかないきれません。そのためひふみ投信は日経平均採用銘柄や外国株であるAmazonにまで投資先を広げていきます。
彼らの強みであったボトムアップ型のアプローチが取れず、優位性のない大型株や外国株に手を出し始めたのですから、リターンが急速に悪化していったのは必然と言えるでしょう。
実現してしまった私の懸念
以上の話について、私は初めて話したわけではありません。実例を挙げ、時には真面目に、また時にはおちゃらけた内容で何度も警鐘を鳴らしてきました。
今読み返すとだいぶ恥ずかしい内容もありますが(笑)、その後のひふみ投信の基準価格の推移を見れば当時の私の懸念は当たってしまったと言えるでしょう。
はっきりいってアフィリエイターがアフィリエイト収入目的で勧める商品に手を出してもロクなことにならない、というのが良くわかる実例だと思います。
また当時アフィリエイト目的でひふみ投信を勧めていたアフィリエイターが「投資信託では儲からない」と言っていましたが、そりゃああなたがアフィリ目的で勧めたひふみ投信では儲からなかっただろうなという感想しかありません。
「誰でも簡単に大儲け出来る!」といった謳い文句には踊らされず、感情を可能な限り排して事実を見極めたうえで投資に臨んでいくべきではないかと私ローンウルフは考えています。